湖畔のドール村@

 山脈湖畔のコサージ村〔湖畔のドール村〕……軍医タコ一行は、湖近くの避暑地村にやって来た。
「誰もいないっスね」
 我美がそう呟いた時……林の中から全裸の女性たちがゾロゾロ現れ、軍医タコたちの方に向かってきた。
 その表情は無表情で、人工皮膚で人間そっくりにコーティングされた、アンドロイドかターミネーターのようだ。
 軍医タコたちの前方に整列した、裸の女たちのリーダーらしき女が言った。
「ピピピ……女二人、タコ一匹……男はいないピピピ……残念」
 去っていこうとしていた裸の女たちを、軍医タコを呼び止める。
「もしかして、あなた方は『AI内蔵のラブドール』の皆さんですか?」
 軍医タコの言葉に立ち止まって振り返る、リーダー格のラブドール。
「そうだ、我々は男性の性欲処理を目的に作られた、高性能ラブドールだ……自己洗浄で人工膣を清潔に保つコトができる」
「さきほど、男性が居なかったので嘆いていたようですが?」
「ピピピ……我々の体は男性に奉仕するようにプログラムされている……しかし、この地にいた男性はあらかた狩り……もとい、去ってしまった……ピピピ」
「それでは、あなた方の数体を女性専用のレズ・ラブドールにプログラム変更して差し上げましょう。その方が性的奉仕対象が増えますから」
「本当か? それは助かる……ピピッ」
「どこかプログラムをするのに、適した場所はありますか?」
「ピピピ……我々が製造された工房が近くにあるので、そこでプログラム変更をしてくれ……ピピピ」
 ラブドールに連れられてきたのは、町工場風の建物だった。工場内には製造途中で放置されたラブドールが散乱していた──軍医タコが言った。
「一体一体、オーダーメイドのラブドール工房ですか……丁寧な仕事をする職人の職場ですね……では、レズ用にプログラムを書き換えるラブドールは、その斜めになった台に裸体を横たえてください」
 数体のラブドールが斜めの台に、裸体の背中を密着させる。軍医タコはコードをラブドールたちの額に装着する。
「では、これよりプログラムの変更作業を行います……一部男性客に対するデータの消滅はあるかも知れませんが」
 プログラムの変更が開始されると、台に背中を付けて立ったラブドールは、裸体をガクッガクッと震わせて喘ぐ。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 乳房や腰に玉の汗が吹き出し、性器からも大量の人工愛液が内股を垂れる。
 数分後……プログラムを書き換えられ、レズ専用になったラブドールたちが我美と響子を見て、好色そうに唇をナメ回した。
 レズ・ラブドールからコードを外しながら軍医タコが言った。
「女性から性処理奉仕の要望があれば、レズ行為で相手を慰めるようにプログラムしておきました」
「ピピビ……感謝する、お礼がしたいが我々のできるコトはないか?」
「では、新たなエロ文化を作るお手伝いをしてください……あなた方が性能を十分に発揮できる有利な風俗を考えました」

 軍医タコは廃業したネットカフェの場所をラブドールたちから聞き出して一緒にやって来た。
 店内は雲の巣や、放置された設備で散乱していた。
 軍医タコが個室を覗いて言った。
「少し掃除をして片付ければ営業再開できそうですね……ネット環境をアダルト専用に整備して、店内のコミックをすべて性的で過激な内容のエロコミックに変えれば」
 我美が軍医タコに訊ねる。
「廃業したネットカフェを再開して何をやるつもりっス?」
『オナニー専門個室ネットカフェ』をラブドールたちに営業させます……お客はオナニーをするために個室を利用して使用料を払います……もちろん、お客からの要望があればラブドールが個室で性処理をします……試しにラブドールと響子に、相互オナニーをさせてみましょう……我美さんは我慢してください、二回目の絶頂波が発生すると、世界がどうなるかわかりませんから」
 軍医タコは、ネットカフェの床に何か植物の種のようなモノをパラパラと撒いて水をかけた。
 水分を吸収した種はすぐに発芽して、床に根を張り蔓のような植物が天井を這うまで伸びて、リンゴに似た果実を実らせた。
 赤いリンゴの表面には女性性器に酷似した窪みが、黄色いリンゴには男性性器に似た突起物が生えていた。



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あきゅろす。
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