尻目温泉@

【名も無き寂れた地方の町】〔尻目銭湯〕……軍医タコ一行は、ゴーストタウンのように寂れた町にやって来た。
 ここでも、サル知能人間たちが、あちらこちらでセックスをしている。
 自動運転のタコさん号の中で、軍医タコが言った。
「この町も絶頂衝撃波の影響で、荒廃してしまいましたね」
「申し訳ないっス」
 樹上で樹を揺すりながらセックスしている男女を眺めながら、響子が軍医タコに質問する。
「あたし、本物なんですか? それとも分身の方なんですか?」
「どちらでも同じですよ……本体でも分身でも変わりありません」
 困り顔をする響子。
「そんなぁ」
「また、響子の体を使って。この町でエッチな文化を作り出しますからね……おや? 寂れた町の中であの銭湯だけは営業しているようですね。ちょっと寄ってみますか」
 軍医タコたちは銭湯の前にタコ車を停めて、銭湯に女湯の入り口から入った。
 更衣室では裸エプロンをした女性が床をモップで掃除していた──女性が言った。
「あ、久しぶりのマトモな人間のお客さんだ……タコ? ペットは困るんですけれど。まぁ、サル知能の人間しか来ていなかったから……いっか」
 軍医タコが普通レベル知能の女性の顔を見て言った。
「尻目さん? ですか?」
「はい、『尻目湯』を切り盛りしている、尻目ですが? タコが喋った!?」
「この世界の尻目さんですか……あなたはどうして、サル知能に退化しなかったんですか?」
「それが、よくわからないんです……他の人はみんなサル並み知能になったのに……もしかして、あたしの体のこの変化が関係していますか?」
 尻目はヒップを軍医タコの方に向ける、そこにはマ●コア●ルから粘液で濡れる目が覗いていた。



「あたしの体、どうなっちゃったんですか? 言葉を喋る人外のタコさんなら何かわかりますか?」
 軍医タコは、尻目の二つの目を観察して言った。
「なるほど『裸族人類と裸女が存在しないどーでもいい世界』にいた、人間の尻目さんが絶頂波を受けて、妖女因子が目覚めてしまったようですね……裸女化したので絶頂波の脳への影響が回避されたのでしょう……今後は、この世界の名称は『裸女は少しだけ存在する、素晴らしい世界』に呼び方を変えましょうか」
「????」
 軍医タコが尻目に質問する。
「お客さんが来なくて、この銭湯はどうやって営業を続けているのですか?」
「サル知能の人間たちが、たまに風呂に入りに来て……もっとも、番台に置くのがバナナとか木の実なので……今まで、なんとか頑張って銭湯経営を続けてきましたが。今日を最後に廃業する予定です」
「それは、もったいないこんなに立派な、江戸情緒溢れる銭湯なのに……わかりました、わたしたちが尻目湯を盛り上げて……と、その前にわたしたち三人分の銭湯入浴料金を」
 軍医タコは一円玉三枚を尻目に渡した。三枚の一円玉に驚く尻目。
「こんなに頂けません……数年間、遊んで暮らせる金額じゃありませんか!?」

〔『裸女は少しだけ存在する、素晴らしい世界』では、一円は大金です。宝クジ売り場でも『この売り場から一円が出ました』と表示されています〕

 軍医タコが言った。
「わたしたちの尻目湯を継続させたい気持ちですよ……その代わり少し銭湯の内装をいじくらせてください、もっとお客さんが来るようにしますから」
 一円を手の上に乗せて、ニヤニヤしている尻目は軍医タコの言葉に適当に答える。
「どうぞ、どうぞ……なんでも自由にやっちゃってください」
「それでは、まず男湯と女湯の壁を粉砕して混浴にします……我美さん、お願いします」
「任せるっス……やっぱり、壁を壊すならこの淫乱ライダーっスね」
 我美は取り出したヤク●トサイズのボトルをカチカチ振る。裸身に変身ベルトが現れ。我美の周囲をエロい方程式が流れる。
「さあ、変態をはじめるっス……変身!」
 試験管かプラモデルのライナーのようなモノが我美の体を囲み。
 ボトルをセットした変身ベルトから音声が聞こえてきた。
「『乳房揉み回し』『尻凌辱』……バストマッチ!」
 我美の胸がプクッと膨らむ。
 ジャンプした我美は銭湯の壁にキックして、男女の境を粉砕した。
 そして、銭湯の床を拳で強打すると、温泉が噴き出した。

[前戯へ][後戯へ]

4/18ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!