裸族人類が存在する退屈でない世界B

 手元に引き寄せた白目の隊長タコを、軍医は操り人形のように触手で操作して腹話術で喋った。

《こんにちは、ボク隊長くんだよ……小人たちに迷惑かけたから神さまのバチが当たって、こんな姿になっちゃったんだ……てへっ、反省、反省》
 口をパクパク動かされて、軍医に操作されている乾燥隊長タコの触手が数本……ポキッポキッと折れる。
 ティティスと凍騎の顔に、乾いた笑みが浮かぶ。
 軍医タコは隊長タコを、ゴミのように床に投げ捨ててから言った。

「さすがに、隊長を放置しすぎましたから……少し栄養のあるモノを隊長に食べてもらって、精をつけてもらおうと思いまして。わたしと、尻目さんと、着衣人類の響子さんにも協力してもらって高級食材集めをしようと考えています。よろしければ、ティティスさんと凍騎さんも、ご同行いかがですか? いろいろな地域が観光できますよ」
 ティティスと凍騎が小声で会話してから、軍医タコに言った。
「食材集めの旅……実に興味深い同行したいです」
「特にこの世界の一番上に乗っている、ディスクのような海洋と大地の部分が、どうなっているのか興味あります」
 軍医タコがティティスの言葉を聞いて、触手で腕組みをして思案する。
「ディスクのような大地と大海の世界?? 変ですね……老創造主が作ったディスク・エデンは、太古に消滅してしまったはずですが? 別のアナザー・エデンが流れてきて乗っかったのでしょうか?」



 軍医タコが言った。
「その未知のディスク・ワールドへの探索はいずれ……今回の食材集めは従来の、ブリッジした女体の腹に乗った半球世界の方で」
 こうして、軍医タコグループと触侵グループは合同で、隊長タコを元気にするための、究極食材集めの旅に出発した。


 数時間後……軍医タコ一行は、デフォルメ化された小型タコ宇宙船で、目的地に向かって海上を白波を立てて航行していた。
 宇宙船の中で凍騎が軍医タコに訊ねる。
「最初の食材はなんですか?」
「前菜として『太歳〔たいさい〕サラダ』を考えています……目的地は尻目さんの故郷の『妖怪渓谷』……あっ、尻目さん物干しに干した隊長の乾きモノは、あまり強く布団叩くで叩かないでください。埃を払う程度に軽く」
 海上を航行してきたタコ型小型宇宙船は、そのまま岸から上陸して走行していく。
 尻目が軍医タコに訊ねる。
「『妖怪渓谷』とは方向が違うみたいですけれど?」
「響子を拾って行きます……この時間は授業中でしょうから」
 デフォルメ化されたタコの宇宙船は、響子の学校校門前の道に路上停止する。
 軍医タコは、小型宇宙船内に『どこでもホール』を発生させると、ホールの中に触手を伸ばして。
 スッポンポンの響子を引っ張り出した。
 いきなり、裸体で校外に連れ出された響子が胸元を手で隠して悲鳴を発する。
「きゃあぁ!? 授業中ですよ、いきなり何するんですか?」
「また、しばらく響子の力と肉体を借りたいので……すみませんが、久しぶりに操らせてください」
 軍医タコは、響子の頭に両目を隠すリング状のサンバイザーを被せる。
 響子の脳内に直接、状況説明のデータが流し込まれ……同時に後頭部の窪みに操り針が打ち込まれる。
「うッ!?」と、短い呻き声を発して。響子の脳波は操られモードに入った。
 軍医タコが響子に向かって言った。
「すみませんね……あらゆるデータから分析した結果、今回の食材集めには。響子が一番の適任者で、望まないエッチもしてもらわないといけない場面も出てくるので、拒絶できないように操らせてもらいます……教室には等身のクマのヌイグルミに制服着せて、響子の身代わりで置いてきましたから」
 操り処置が終了して、リング型のサンバイザーを響子から外す。
 軍医タコがニコニコ笑っている響子に質問する。
「響子さん、あなたの今の状態を説明してください」
「はい、今の響子は操られています。どんなエッチでも命じられれば拒否するコトはできません」
「結構……蘭花と銀牙は、護衛で衛星軌道上に待機してもらっています……わたしが笛を吹けば、蘭花か銀牙のどちらかが飛んできます」



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あきゅろす。
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