【エロの大会】開催A

 その時、タコ仙人と隊長タコから少し離れた場所から軍医タコの声が聞こえてきた。
「わたしも『エロの大会』は一度は観たいと思っていました」
『どこでもホール』の縁に触手腕を乗せた軍医タコが顔を覗かせていた。
 怒る隊長タコ。
「軍医、てめぇ!! 今までよくも……!!!!」
 軍医タコは、真っ赤になって頭から水蒸気を噴出させている隊長タコを無視して、タコ仙人に話しかける。
「お久しぶりです……タコ仙人さま」
 軍医タコは、どこでもホールの中から手提げ紙袋を取り出す。
「これを、仙人さまに……タコ星から取り寄せた銘菓です」
 手提げヒモが付いた紙袋を受け取る。
「おぉ、気が利くのぅ……どれどれ、おぉ! これは銘菓『タコの卵』ではないか、この表面のヒョウモンがたまらん、大好物じゃ」
 タコ仙人の顔が緩む……どうやらタコ仙人は、モノを贈られるのが好きのようだ。
 軍医タコがタコ仙人に言った。
「『エロの大会』を、軍医一族のタコですが見学させてもらえますか?」
 お茶をすすり銘菓を食べながら、満足そうな顔でタコ仙人が答える。
「本来は観戦チケットが必要じゃが。銘菓のお返しで無料招待じゃ、知り合いがいたら連れてきたらいいぞ。
軍医タコの知り合いだとスタッフに伝えれば何人でも無料じゃ……それにしても、いつ食べてもタコの卵は美味いのう……もぐもぐ」
 タコ仙人はチラッと隊長タコの方を見て(コイツは何もくれんのか?)と、いった表情をした。

 そして数週間後……タコ仙人の号令で多元宇宙の隊長タコたちが、それぞれの宇宙を代表するエロ選手を一名づつ引き連れて。
 タコ仙人が指定した対戦用小惑星に集結した。

 エッチな闘いが行われる、メイン会場のコロシアムには試合開始時間前から、多数の観客で客席が埋め尽くされ立ち見客が出るほどだった。
 軍医タコに連れられてきた響子が、客席を見回して言った。
「スゴい観客数ですね……サッカーの国際試合並みの盛り上がりですね、客席にいろいろな宇宙の人たちがいますね」
「自分たちの宇宙から選抜された選手を応援するために、集まった人たちですからね……試合はメイン会場が一つ、サブ会場が二つで行われます。各会場の様子は巨大モニターで中継されます」
「こんな大観衆に見られながらエッチなコトするなんて、はぁはぁはぁ……想像しただけで羨ましくて、興奮しちゃいます」
「そうですね、さてと控え室を覗いて少し我らの隊長の様子を見てきますか……どうせ隊長のコトですから、参加選手の手配が上手くいっていないはずでしょうから」
 そう言うと、軍医タコは空中に楕円形の『どこでもホール』を描いて空間を繋げた。

 ほぼ同時刻、隊長タコの控え室……タコ仙人が隊長タコに怒鳴っていた。
「参加選手が一人も集まらなかったとは、どういうコトじゃ!!! ヨシタコ!」
「いろいろな方面に声を掛けてはみたんですが……即答で拒否されて」
「なんと言って頼んだのじゃ?」
「『今度オレがこの宇宙の代表で出場するから、おまえを選手として出場させてやる感謝しろ』……と」
「アホか!! この大会には裸族人類の参加は認められていないのじゃぞ……裸女〔裸男〕や特殊人間の選手しか出場できないのだぞ、大会開始時刻も迫っておるというのに……出場選手が確保できないとは情けない、どうするつもりじゃ! 開催宇宙の主催者として棄権は絶対に認めんからな!」
 タコ仙人が頭から水蒸気を噴出させて激怒していると『どこでもホール』の中から軍医タコが顔を覗かせた。
「おやおや、思っていた通りの展開になっていますね……少し提案したいのですが、わたしに一人エロ戦士の心当たりがあるのですが。
彼女に代表として出場してもらう
というのはどうでしょうか……かなりの実力者で今まで公の場に一度も出たコトが無いニューフェイスですが。
連絡するば、すぐに来てくれると思います……日頃、隊長にはお世話になって(世話してやって)いるのでささやかな感謝の気持ちですが、隊長がわたしの提案を承諾(土下座して頼めば)していただければ、すぐにでも」
「ふざけるな! 誰がおまえの触手なんか借りるか!」
 軍医タコは両目を細める。
「そうですか……隊長さえ承諾して(床に頭を擦り付けてお願いして)くれれば、わたしも気持ち良くエロ戦士を呼んであげたものを……ふ〜ん、そうですか」


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あきゅろす。
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