大王イカ星A

《ひょひょひょ、やったぞ! このイカ星を第二のエデンに変えるという儂の壮大な計画に邪魔なタコの軍医を始末したぞ! あのタコ型宇宙人は目の上のタンコブだったわい……アイツさえいなければ》
 イカ大王がそう呟いた時、別の分割モニター画面にオレンジ色のタコが一匹……別の通路を進んでいる姿が映し出されていた。
《どういうコトじゃ? あの粘着剤タコ壺から抜け出したのか? 罠2、発動……ポチっとな》
 通路に巨大ローラーが出現して、B通路のタコを潰す。
 グシャ……ブチッブチッ……ブシュ

《これで、軍医タコも最後で……》
 C通路とG通路とM通路を映している各モニターにオレンジ色のタコ型宇宙人の姿が……発狂気味にトラップボタンを連打するイカ大王の、眉間の人。
《うわぁぁ!? ポチっとな! ポチっとな! ポチっとな!》
 半月型の振り子ギロチンが、オレンジ色のタコ型宇宙人を寸断する。

 壁の両側から突き出した鋭い槍が、オレンジ色のタコ型宇宙人を串刺しにする。

 火炎放射ノズルから噴射された炎が、オレンジ色のタコ型宇宙人をタコ丸焼けにする。

 次々と現れるオレンジ色のタコ型宇宙人が、宮殿に仕掛けられたトラップで始末されていく。
《はぁはぁ、なんじゃ……いったい、何匹いるんじゃ?》
 その時、イカ大王部屋の扉が開いて。裸エプロン姿の尻目、性器にディルドーを突き挿した淫霊憑依の響子、オレンジ色のタコ型宇宙人が現れた。
 オレンジ色のタコ型宇宙人は無防備に、イカ大王の方に近づく。パニックになる眉間の人物。
《うわぁぁ! 来るな! 最終トラップ! ポチっとなぁ!》
 タコの足元の床が抜けて、落とし穴に落ちたタコが酸液で溶ける臭いがした。
《ふぁははは……このタコがぁぁ、下等生物の分際で創造主に逆らって計画の邪魔ばかりしおって。バーカバーカ、天罰じゃ》
 イカ大王の眉間の人が、優越感に浸っていると、どこからか軍医タコの声が聞こえてきた。
「そうですか……今のが最後のトラップですか」
 尻目と響子の近くに『どこでもホール』が開き、軍医タコがヌチャと出てきた。
《お、おまえは! 『どこでもホール』はメンテナンス中で使えないはずでは、なかったのか?》
「数分前にメンテナンスは終了しました……隊長が時間稼ぎをしてくれた、お陰です」
 入り口の壁や天井や床から、ワラワラと隊長タコのクローン体が現れる。
 軍医タコが言った。
「そろそろ、正体を見せたらどうですか……バレバレですよ」
 軍医タコがヌチュと触手指を鳴らすと、イカ大王の前方からのライト光に切り替わり。
 メカニックなイカ大王ロボットの眉間にある、操縦席に首に銀色の首輪をして座る創造主の姿があった。
 淫霊が憑依した響子が、一歩踏み出す。
「お父さん……オレの体」
 魂が抜けた半生身機械生命体の少女も引き寄せられるように、響子に向かって歩みはじめる。
《儂が許可していないのに、どこへ行くつもりじゃ!! 勝手な行動は許さん、おまえは儂が作るエデンで、儂に絶対に逆らわない従順な人類として作られたのじゃ! もどれ!》
 イカロボットの先端が菱形をした触腕が、半生身機械生命体を連れもどそうと伸びる。
 すかさず、尻目が伸びてきたイカ触腕にヒップを向ける。



「尻目砲発射!」
 ポッポンと臀部かは発射された二個の眼球が、イカロボットの触腕に命中してボルトが外れた腕が落ちた。
 半生身の機械生命体と、憑依響子が二メートルほどの距離で向き合い立つ。
 軍医タコが軽く響子の背中を押す。
「本来の体にもどりなさい」
 背中を押されてよろめいた響子の額が機械生命体の額と衝突して、淫霊が抜けた響子がぶつかった額を押さえて、しゃがみ込む。

「いたぁぁ……ここドコ? あたし今まで何をしていたの? なんでマ●コにディルドーを入れているの?」
 淫霊がもどった機械生命体少女は、自分の生身の顔を撫で回し、生身の乳房を揉み、生身の性器を触って肉体の感触を実感する。
「オレの体……帰ってきた、やっともどれた……あぁぁ」
 感涙が少女の頬を伝わる。
 怒りに声を震わせる創造主。
《どいつも、こいつも儂に逆らいおって……儂は創造主だぞ! 偉いんだぞ! 半分生身の機械女! おまえは儂が作った所有物じゃ! 儂の言葉だけに従っていればいいのじゃ》



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