スッポン星の【脱皮人間】@

【リアルタコ型母船】は次の目的地へと向かう……ナマコ星での吐き気が、やっと治まった尻目が軍医タコに訊ねる。
「ナマコ星の【擬態人間】おぞましかったです。次はどこの星ですか?」
「二足歩行する等身の『スッポン型宇宙人』が支配する沼星です」
「人間サイズのス、スッポン!? 噛まれませんか?」
「大丈夫ですよ、よっぽどのコトがないと噛んではきませんから……それにしても、スッポン星でも人間の改良や実験が行われていたとは?」
 触手を組んで思案している軍医タコに尻目が訊ねる。
「どういう意味ですか?」
「七年前に一度だけ、スッポン型宇宙人から『拐ってきた(真)地球人の子供を使った、変わった人類を作ってみたいから……何かアイデアをくれ』と、相談を受けたので『セミの幼虫みたいに、脱皮成長をする人類はどうでしょう?』と、アドバイスと技術提供をしました」
「こ、子供を誘拐してきたんですか!?」
「心配ありません、本物そっくりにコピーして記憶移植した疑似人間を親元に残してきたと言っていましたから……親も自分の子供が取り替えられているとは気づかずに育てて、子供も自分が疑似人間だとは知らずに成長していますから」
 軍医タコは宇宙船内の片隅に、裸で膝抱え座りをしてマ●コにディルドーを突っ込んで震えている、響子に憑依している淫霊を眺めた。
「あのスッポン星の淫霊の未練が……わからない、暗い泥土の中で一体。息絶えている……どうすれば成仏するんだ? ぶつぶつ」
 青い顔でディルドーを膣に突っ込んで、震えている淫霊に憑依された響子を放っておいて。
 着陸艇は沼星にある少ない陸地に着陸した。
 古木が一本だけ生えている平らな島のような場所に、人間のように立ち上がった等身のスッポン型宇宙人がいた。
 スッポン型宇宙人は、着陸艇から降りてきた軍医タコに親しげに片手を挙げて挨拶する。
「よっ、タコさん久しぶりだな……来てくれたのか」
「スッポンさんも、お元気そうで……脱皮の変態イベントには間に合ったようですね」
「タコさんが設定してくれた通り、肉体に手を加えた人間の子供たちは泥質の地中に潜り七年間……変態する今日まで過ごしてきた……一体だけは虚弱で死んじまったがな。ほらっ、最初の子供が沼の中から出てきた」
 スッポン型宇宙人が指差した先に、沼の中から泥にまみれた全裸の幼女が陸地に上がってくるのが見えた。
 軍医タコが言った。
「ヤゴの幼虫の遺伝子と、セミの幼虫の遺伝子はちゃんと子供たちに作用していたみたいですね……七年間後の今日、子供たちに、新たな人生がはじまります」
 次々と沼から上がってくる。幼い女児と男児は古木の幹にセミの幼虫のようにしがみつく。
 そして、背中が割れて仰け反るような姿勢で。次々と成人した裸の男女がセミの幼虫が殻を脱ぎ捨てて成虫になるように……幼い体を脱皮して大人になった。
 神秘的で神々しい脱皮する人間を見た尻目が呟く。
「変態です……人間の変態です」
 老木に脱け殻を残して地面に落ちた裸の成人男女たちは、しばらくボーッとしていたが。
 そのうちに、近くの泥沼でキャッキャッ言いながら……泥遊びをはじめた。
 泥の中を全裸で転げ回ったり、鬼ごっこをしたり、男女で泥プロレスごっこをしたり、泥だらけになりながらしゃがんで裸の成人男女が泥ダンゴを作っている光景は……かなりシュールだった。
 性器に泥がついても、七年間泥の中にいた裸の男女には免疫力があり雑菌に感染するコトはなかった。
 泥遊びをしているだけの【脱皮人間】を見て、スッポン型宇宙人は頭を抱える。
「なぜだ? なぜ、生物の本能に従って脱皮後の交尾をしない? 地上に出たらオスは七日間しか生きられないんだぞ……オスとメスが交尾して、再び泥の中にもどったメスが地中出産して子孫を残す……それが【脱皮人間】のコンセプトだったはずじゃないのか? 七年間待った結果が交尾なしで絶滅か?」



[前戯へ][後戯へ]

6/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!