二つの世界の同時進行ストーリーC 真地球『進化神ダーウィン』登場

 国際国防庁の一番偉そうな人物が艦長に向かって上から目線で言った。
「来たか、まずはこの映像を見ろ」
 壁のモニターに雪山を上空から撮影している監視衛星の映像が映る。
 雪の中に着陸しているレトロな流線型の金色宇宙船……宇宙船の近くにいる三人の裸体の男女……一人の裸の女にズームする、白い翼を背中から突出させてオナニーをしていた女が悩ましげな表情の顔を上げて、監視衛星の方を見た。
 次の瞬間、裸の女が持っていたボウーガンから発射された矢が、レンズに迫り衝撃音と共に画像は途絶えた。
 画像を見せた国防庁の司令官が、艦長に訊ねる。
「どう思う……アレが君が言っていた『裸族人類』か?」
「個体は違いますが似ていますね……裸族人類だと思います」
「そうか、次にこの映像を見ろ」
 今度は、コンビニの制服姿でレジ接客をしている『ゴキブリ人類』のメスや。ファストフード店で注文を聞いている『ゴキブリ人類』のメスや、夜の工事現場で交通整理をしている『ゴキブリ人類』のメスの姿が映し出された……他にもキャバクラ嬢をやっている『ゴキブリ人類』のメスや、地下鉄の職員になってホームを掃除している『ゴキブリ人類』のメスが映っていた……全員が同じ顔をしている。



「いつの間にか、人間社会に溶け込んで生活している。ゴキブリだ……実際にコンビニへ買い物に行って彼女と談笑するまでは、君が赤い星で遭遇したと言っていたゴキブリから進化した人間の存在は信じていなかった」
「で……いつの間にか、この星で繁殖していた『ゴキブリ人間』を殺虫剤とかで駆逐するんですか?」
「恐ろしいコトを言うな! 彼女たちは貴重な労働力だぞ! あんな可愛い子たちを駆逐できるか! 君の話しだと、人類とゴキブリのセックスは可能だそうだな
「えぇ……『性戦』で乱交させられました」
「そうか……用件は終わった。もう、下層のファイル室に戻っていいぞ、必要な時はまた呼び出す……ついでに、この老人を連れていって面倒を見ろ」
 国際国防庁の男性は、白髪の老人を指差す。
「なんでも、この星の神さまだそうだ……神石を狙っている者が、近いうちにこの星に来るから近代兵器で守ってくれと言って国防庁本部に勝手に徘徊して入ってきた」
「神さま? このジ……もとい、老人が?」
 白髪の老人がいきなり椅子から立ち上がり怒鳴る。
「誰が! エロジジイの創造神じゃ! この星の生物を進化させたのは、儂の力じゃぞ! おまえら人類を猿人から人間に進化させてやった気まぐれを感謝せい! ところで幸枝さん、飯はまだかいのぅ?」
 ヤマンバの化け物メイクをした副官が老人の質問に答える。
「誰もエロジジイの神さまだなんて言っていませんよ……幸枝って誰? そもそも神さまって食事するんですか?」
「おおっ、そうじゃった儂は神だから食事は不要じゃった……んっ? 儂はなんでここに居るんじゃ」
 艦長が訝しげな表情で老人を見ながら、国防庁の男性に訊ねる。
「このジジ……もとい、老人が神さまだという証拠は?」
「実際に神の奇跡を見せられたからな、信じるしかないだろう……さっさと、そのジジイを連れていけ!!」

 真地球の進化を司る創造神を連れて、地下のファイル室へ続く通路を歩く副官が不満を漏らす。
「結局、厄介な老人を押し付けられただけじゃないですか……あの国防庁の、お偉いさん。ゴキブリ人間の少女とセックスするつもりですね……それって淫行罪にならないんですか?」
「ゴキブリと人間の異種交配だから、罪にはならないんだろうよ……何かがこの星に起こりつつあるが、国防庁の連中は自分たちで対処するつもりだ……放っておけ」
「あの人たちも虚勢を張らないで性戦経験がある、艦長に協力要請をすればいいのに……艦長って、スズメバチかなんかの遺伝子入れられているんでしょう?」
「いや、持ってねぇし……普通の人間だから変異しねぇし」
 その時、一番後ろを歩いていた自称神の老人が副官のヒップを撫で回した。
「ひゃん!?」
「幸枝さんや、尻はまだかえ? おぉ、立派に進化しておるわい」
「このエロジジイ!」
 副官が平手打ちをする前に、創造主の老人は後方に飛び下がり不敵な笑みを浮かべた。
「儂が進化させた人間のメスの尻もなかなかのもんだわい……どれ、あの国防庁の男に神だと認めさせた『進化神ダーウィン』の実力、この女の肉体を使って再び示すとするかのぅ」



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