変態幼女・砂野スグリは帰ってきたA真地球東側=セックスファイル室

 真地球東側……某国の秘密ファイル保管施設の保管室、一人の男性が地下保管室を歩き回り、保管物や保管ファイルのチェックをしていた。
 膨大な量の保管物をチェックしている男性職員は、もっとも厳重な保管室がある下層ブロックへと足を踏み入れる。
 何層にも重なった金庫室の扉のような、分厚い重金属のロック式扉を開けて、両側に棚が並ぶ通路を進む男性は壁から突き出している、女体や男体の一部ゾーンで足を止めた。
 ハイヒールを履いた美脚で馬の後部のような格好でヒップを振りながら、立っている生きている女の下半身。
 胸部と下半身の腹側前面が壁から出ていてビクビクとチ●コが動いている男体。
 腕が壁に入った胸から上の上半身が壁から出ている、喘ぎ顔の女。
 他にも女性器だけとか、男性性器だけとか、ヒップだけ、背中側だけ、足だけや手だけや、顔の下半分が壁から出て舌なめずりをしている女もいた。
 生きている各種パーツの壁には採取された日時と採取場所のプレートが貼られていた──科学実験の失敗や魔法の影響など。
 さまざまな理由で生きたまま肉体の一部が空間転移した人間たちだった。
 壁のパーツゾーンを抜けた男は、一番近くにあった細長い引き出しを引っ張り開ける。
 中にはパックに入ったトコロテンのように、透明なシートで密封された裸の女が仰向けで横たわっていた。
 液体が満たされた引き出しの中に保管されていた女が目を開けて男を見る。
 男は無言で引き出しを閉めると、何年も水中で呼吸もしないで生きている、水中セックス専用に作られた首筋にサメのようなエラがある水棲バイオ改造女性の保管状況をチェック用紙に書き込む。
 ここは性に関する不可解な事件の記録や残留物を保管している極秘の機関『セックスファイル』男性はこの、セックスファイル室の管理責任者だった。
 責任者の男性が別の引き出しを開けると、墜落した未確認非行物体から回収した宇宙人愛用の性具らしい物体とか、異世界からゲートを越えて持ち込まれた異界の性具が標本箱に入っていて、男性はそれらの保存状態をチェックする。
 管理者男性がチェックを続けていると、モスグリーン色の軍服風のタイトスカート制服を着た若い女性が男性に近づいてきて言った。
「ずいぶんと、仕事熱心ですね……艦長」
「今は武装宇宙船の艦長じゃない、この部屋の管理責任者だ」
「でも副官として艦長と、赤いゴキブリ星や実験群島の人間島で行動を共にしてきた、あたしには今でも艦長です」
 元・武装宇宙船の艦長として赤いゴキブリ星で、性戦に参戦した真地球の艦長は副官女性の顔を見る。
 副官女性は日焼けサロンで小麦色に焼いた肌に目の回りと唇に白っぽい化粧をした、ヤマンバメイクをしていて染めた髪を盛っていた。
 艦長が副官女性に訊ねる。
「それ……その化粧と日焼け肌、流行っているのか?」
「また、流行りはじめました今は『化け物メイク』と言うらしいです」
「そうか……流行っているのか」
 艦長は赤いゴキブリ星から撤退して、真地球に帰路途中に不慮の事故で『裸族人類が存在する退屈でない世界』の実験群島の中にあった『人間島』で過ごした半年間のコトを思い起こす。
 島の周囲をグルッと高い円筒の金属壁で囲まれた『人間島』──理性を忘れ性本能だけの原始生活を、一緒に不時着した仲間たちと過ごしていた、艦長と副官はある日……壁の一部に楕円形の穴を発見した。
 穴は壁の外へと繋がっていて、浜辺に古いSF映画に登場するような三脚で流線型の金色に輝く有人ロケットが着陸していた。
 石槍を持ったヒゲ面の艦長が、穴の向こう側に三脚で着陸している古風な宇宙船を指差しながら、副官に言った。
「ごほっ、うがっ!?」
 木の棍棒を持って髪の毛が、バサバサの副官が答える。
「うほっ、うほっ、うほっ」
 艦長と副官が穴を通って壁の外に出ると、どこでもホールは閉じた。
「おほっ、おほっ?」
「うへっ、うへへ」 艦長と副官が恐る恐る、レトロ宇宙船のハシゴを登って船内に入ると扉が閉じて、勝手に発進してロケット噴射で真地球へ向かった。

「目的地がプログラムされていた、レトロな宇宙船は自動的に真地球に向かったな……まさか、真地球と恒星を挟んで存在していた〔裸族人類が存在する退屈でない世界〕が、あんな冗談みたいな形をしていたなんてな」



 化け物メイクの副官が言った。
「ビックリしましたね……レトロなロケット宇宙船の噴射口から出ている炎、途中から少し曲がって上昇していて、宇宙空間なのに煙も出ていましたね……真地球に到達するまでに理性もどりましたけれど」
「驚く箇所、そこかよ」


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あきゅろす。
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