【黒き忍びの里】にてB〔里見八忍剣士〕登場

 九十郎が一歩、前に出て言った。
「とりあえず名乗っておこう……里見『八忍剣士』が一人、『犬崎九十郎』〔いぬざき・くじゅうろう〕」
 続いて、公家のような格好をした白塗り男が扇子を手に名乗る。
「同じく八忍剣士が一人……『犬頭華京』〔いぬがしら・かきょう〕でおじゃる……以後、おみしりおきを、ほっほっほっ」
 十手を持った岡っ引きが名乗る。
『犬尾平次』〔いぬお・へいじ〕でぇ! ご用だご用だ!」

 三角おにぎり頭で、頭と胴体が直接繋がっているような大男が言った。
「おら『間毛犬吉』〔まけ・いぬきち〕だっぺ」名字から犬の漢字が、名前に移った。

 糸のような目で、黄色のトラックスーツ〔映画のキル・ビル。死亡遊戯の中で主人公が着ている、上下つなぎ風ジャージ〕を着た男が拳法の構えをしながら名乗る。
『珍珍チャウチャウ』ある……あちょー」名前に犬の種類が入ってきた。

 金髪隻眼で中世十字軍のような格好をして、手持ち砲筒を抱えた美少年が名乗る。
「ボクの名は八忍剣士『イ・ヌイージ』よろしく」名前に『イ・ヌ』の言葉が入っているだけだった。

 館で九十郎と一緒にいた、ミニスカ着物の女の子が「にゃおん」と猫マネをしながら言った。
『猫田猫美』〔ねこだ・ねこみ〕だにゃん」ついに、犬とは別の生き物の名前の八忍剣士まで出てきた。

 最後に事務員風の女性が、インテリ眼鏡の縁を押さえて名乗る。
『金溜鬼子』〔かねだまり・きこ〕です……八忍剣士の経理をやっています」もはや、犬でも剣士でもなくなった。

 最後に全員で戦隊特撮モノのようにポーズを決める。
「我ら、里見の八忍剣士! 今日のところは挨拶のみで失礼する」
 そう言い残して、八忍剣士は茂みの中へと消え去っていった。
 ビキニ・アーマーの響子が、ポツリと呟く。
「いろいろと、ツッコミどころ満載の人たちでしたね」
 軍医タコが少し難しそうな顔で、粉斬された竹カゴを眺めて。
「八忍剣士の介入で、さらに【タ●リ神】捕獲が難しくなりましたね」
 と、呟いた。


 翌日……軍医タコと母朧女の一行は、数週間前に『タ●リ神』が目撃された別の場所に来ていた。
 里山近くの水田の、ワラが積み上げられベットのようになった場所で。母朧女はいきなり着ているモノを脱ぎ捨てて全裸になると、ワラの上に仰向けで横たわって言った。
「あたしの、マ●コから湧き出る汁の匂いで、タ●リ神を誘き寄せます」
 母朧女が手を動かして股間と乳房をいじくっている間に、下忍たちが対タ●リ神用の罠を仕掛ける。
 今回の罠はタ●リ神の真上から鉄製の檻が落ちてくる仕組みの罠だった。
 軍医タコが檻が吊り下げられている位置と、ワラの上でオナニーをしている母朧女の位置を確認して内心呟く。
(あんなところに檻を吊ったら、ワラの上にいる母朧女もタ●リ神と同じ檻の中に……)
 軍医タコが罠の位置について忠告しようとした時……金髪隻眼で手持ち砲筒を持った『イ・ヌイージ』が現れた。
「姫が受けた辱しめの屈辱を晴らすために、タ●リ神の捕獲の邪魔をする!」
 砲身が二メートルはあろうかと思われる、砲筒を構えるヌイージ。
 軍医タコが目配せしたティティスの体から数本の触手が、ヌイージに向かって伸びて。あッという間にヌイージから砲筒を奪い取った。
 武器を取られて慌てる金髪隻眼の美少年。
「か、返せ! 家宝の砲筒を!」

 軍医タコが尻目に言った。
「尻目さん『尻目砲』を」



「はい……尻目砲、発射用意」
 妖女・尻目はヌイージの方に尻を向けた。



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