【カッパ湖】と【ユーマの森】C

 軍医タコがネッシーに挨拶を兼ねて質問する。
「その姿では、はじめましてですか……オレンジ色のタコを殺しますか?」
「わたしの本心は、始末する気はないが他の遊女の中には。不名誉な事件に憤慨していて、オレンジ色のタコに鉄槌を下さないと収拾がつかない者もいる」
 駅前に広がる密林の中から光る目がポツポツと見え、ざわつきが激しくなった。
 軍医タコが言った。
「しかたがありません……元はと言えば隊長が招いた不祥事です、ノラ隊長を生け贄に差し出しますから。煮るなり焼くなり好きにして、怒りを鎮めてください」
 軍医タコが触手で空中に楕円形を描き、出現させた『どこでもホール』に触手を突っ込んで。
 タコ型宇宙船に仕掛けておいた罠を取り出す。
 罠の中にはエサに釣られて捕まった、ノラ隊長が詰まっていた。
「ぐへッ、ぐへッ」「ぐふッ、ぐふッ」
 詰まっているノラ隊長の中に、一匹だけ雰囲気が異なるタコが入っていて、軍医タコと目が合う。
「おっ、軍医久しぶりだな……うまそうな食べ物が置いてあったから、入ったら出られなくなった……ここから出してくれ」
「………………」
 しばらく赤いタオマフをしたタコを見ていた軍医タコは、罠ごと光る目が集まった密林の方へ捕まえたノラ隊長を放り投げた。
 動物の唸る声が聞こえ、罠が壊される音と軟体生物が潰される音が密林から響く。
 バキッ! グシャビシャ!
「ぐふぇぇ!」「ぐぐぅぅ!」
「わあっ! なんだ、おまえたちは? やめろぅぅ! ぐわぁぁぁぁ!」グシャッ!ビシャァァァァッ!
 タコの断末魔を聞きながらツチノコ男が呟く。
『ビックフット裸女』や『チュパカブラ裸女』は、特に強い怒りを持っていたからなぁ……ありゃ、原形残らんぜ」
 密林に静寂がもどると、軍医タコが再度ネッシーに質問した。
「ヌードナイトの採掘場は、ここから遠いんですか?」
「歩いて行ける距離である……案内する前に、わたしの頼みを一つだけ聞いてくれないか」
 なぜか、ネッシー裸女は顔を赤らめ少し、うつ向き加減になる。
「そのぅ……言いづらいコトではあるが、わたしの体はまだ男を知らぬ体で……つまり、バージンで」
 ネッシー裸女は、うつ向いたまま一人の男性を指差す。
「そこに居る男性を一目見て気に入った……今日は、わたしの誕生日である……できるなら、メモリアルなロストバージンを彼としたい」
 ネッシー裸女が指差しているのは、コンドーム小僧だった。
 ネッシーがコンドーム小僧に、意を決した様子で頭を下げる。
「頼む! わたしの体に男を刻んでくれ!
 戸惑うコンドーム小僧。
「ど、どうしましょう……ボクはお守りですよ」
 ウズウズが言った。
「やってあげたらいいじゃん、あそこまでお願いされたら……やってあげるのが男じゃん」
 破華姉ぇも同意する。
「女が恥を忍んで告白したんだ……その気持ちを汲んでやれ」
 響子も言う。
「あたしもいいと思います、この淫らな世界ではセックスは普通です」
 我美が言った。
「男だったら、勇気を出すっス」
 軍医タコがコンドーム小僧に質問する。
「コンドーム小僧さんは、見た目は子供ですが……実年齢はいくつなんですか?」
「ボクは成人年齢を越えています、意識してこの姿を保っています」
「だったら、なんの問題もないじゃないですか……駅の待合室のベンチが空いていますから」
 ネッシー裸女が恥じらいながら、ベンチに裸身を横たえる。口元に手の甲を当てたネッシー裸女が、コンドーム小僧に言った。
「初めてだから……優しく頼む」
 コンドーム小僧がどうやって子供のチ●コにコンドームを被せるのかと、軍医タコたちが興味深そうに見守っていると。
 コンドーム小僧はいきなり、拳法家のような呼吸法を開始した。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
 コンドーム小僧の体が筋肉で膨れ上がり、寺坊主の衣服が千切れ飛ぶ。
 スキンヘッドで、たくましい筋肉質の全裸青年に変貌した、コンドーム小僧の胸と腹には七つの傷が浮かぶ。
 小僧から青年に変わった、コンドーム青年が言った。
「これがボクの本当の姿です……あたッ!」
 コンドーム青年がネッシー裸女に裸身を重ねる。不安に震えるネッシーが小声で言った。
「恋人のように抱き締めて、キスして……愛撫してくれ……頼む」

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あきゅろす。
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