【黒き忍びの里】にてA

 翌日……軍医タコ一行は、母朧女が率いる下忍たちと一緒にタ●リ神の目撃があった、鎮守の森に来ていた。
 尻目がタ●リ神を目撃したという下忍に訊ねる。
「本当にこんな人家の近くに、化け物猪がいたんですか?」
 尻目に訊ねられた忍び装束の下忍はうなずく。
「深夜にコンビニのバイトを終わって、帰宅する途中……近道をしようと、森の中を通った時に外灯の下で残飯を漁っている【タ●リ神猪】を見ました……数頭いました、見間違いではありません」
「外灯の明かりに寄ってくるなんて、まるで夏場のカブトムシみたいですね」
 尻目と下忍が会話をしている間に、母朧女はタ●リ神捕獲用の罠を仕掛ける。
 ひっくり返した巨大な竹ザルを一本の棒で支え、竹ザルの下には猪が好みそうなエサを置き。
 棒にくくりつけた縄の先は、母朧女の手の中にあった。
 軍医タコが母朧女に質問する。
「こんな、古典的な単純罠で、タ●リ神を捕獲できるんですか?」
「やってみないとわからない……あぁん、あぁん、幻之介くん」

 母朧女は幻之介と、駅弁体位で繋がっていた……幻之介が首から下げた大人の体重も支えられる子守り袋に、全裸の母朧女は向かい合って吊り下げられた形で入り……性器結合していた。
 軍医タコが母朧女に訊ねる。
「そんなに喘ぎ声を出していたら、タ●リ神は逃げていくのでは?」
「はぁはぁ……それがねぇ、最近発見したんだけど。タ●リ神は特定の女の愛液の匂いに、誘われるみたいなの……今のところ、あたしと娘朧女の匂いにのみ反応するみたいだけれど他の人間の体液にも反応するかも……あぁん、野外チ●コはヤバすぎるほど興奮する」
「なるほど」

 軍医タコは竹カゴの樹上を見上げた、葉っぱに隠れて忍者刀を持った下忍たちが見えた。
(罠にかかったタ●リ神を竹カゴごと串刺しにして、仕留めるつもりですか)
 軍医タコが少し罠から目離した刹那、何かが竹カゴの中に入った気配を感じ、母朧女がヒモを引く。
 何かが罠に入った感触があった。樹上の忍者たちが一斉に、抜き放った忍者刀で襲いかかる。
「くたばれっ! 化け猪!」
 竹カゴに刃が刺さる前に、一閃が竹カゴを粉斬して下忍たちの忍者刀が叩き折れる音が響く。
「!?」

 竹カゴ罠があった場所に忍者刀を抜き放ったポーズで、毛皮のベストに和装の眼光が鋭い『九十郎』が構え立っていた。
 幻之介と結合して腰を動かしたまま、母朧女は館に民泊している別星からの観光客を、のけ反り見る。
「あらぁ……タ●リ神かと思ったら……民泊している『忍法惑星』からのツアー観光客さん……はぁはぁはぁ」
『忍法惑星』と聞いて、ティティスと凍騎の顔色が変わる。
 九十郎が凍騎を睨みながら言った。
「やはり、どこかで見た顔だと思っていたが……蘭医の鬼頭 凍騎か……魔賀と妖賀の両忍びに、妙な入れ知恵をしたのは貴様だな」
 凍騎が九十郎を、いぶかるように訊ねる。
「どこかで会ったか? 見覚えは無いが」
「そちらにはなくともエド城で、こちらは見ている……アワノ国、里見家の姫と言ったら察しがつくだろう」
「もしかして里見の『八忍剣士』か……」
 九十郎は忍者刀を鞘に収めた。
「そうだ、里見家に仕え、里見を守る者。貴様が妙な提案をバクフに提案したから、姫は淫奔な姫さまに変わってしまった……毎夜、男の前で股を開く淫らな姫にな
 九十郎は凍騎を指差して言った。
「我が里見の姫を辱しめる提案をした貴様にこうして別地で会えたのは、神仏の加護……天善どのに聞いたぞ『タ●リ神』を捕らえるつもりらしいな……我ら八忍剣士、貴様の邪魔をしてやる

 九十郎が片手を挙げると、九十郎の後ろの茂みから数名の人物が現れた。
 おにぎり三角頭で、小山のような体躯の大男。
 京都の公家のような格好をして、顔を白塗りにした男。
 金髪隻眼で西洋の十字軍のような格好をした美少年。
 江戸時代の岡っ引きのような格好をした中年男。
 糸のような細い目をして、ブル●リーのような格闘家を思わせる痩身男。
 現代風のOL女性や、九十郎と館で一緒にいたミニスカ着物の少女もいた。

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