妖怪渓谷【迷宮の中華飯店】E太歳ゲット!

 一行はついに、迷宮内の中華飯店に到着した。
 店内に入ると上半身が裸の女で、下半身も馬のような形に繋がった女体の、『女体ケンタウロス』のコックが立っていた。
 西洋風のコック帽を被り、首に白いスカーフを巻いた『女体ケンタウロス』が言った。
「ずっと前に、竜宮島から脱出してたどり着いた『妖怪渓谷』で、中華飯店の店主やっている『女体ケンタウロス』の一体ですが……それが何か?」



「別に何も言っていませんが?」
「そうですか……竜宮島で女体ケンタウロスに変えられた時の悪夢をたびたび見るので、被害妄想が酷くなっておりまして」
 軍医タコがスタンプの押されたカードを見せる。女体ケンタウロスのコックは驚きの表情をする。
「迷宮制覇、おめでとうございます……あの四人から、よくスタンプを」
「確か食事をすれば太歳をプレゼントでしたね……お腹も空きましたから、何か食べるとしますか」
 軍医タコ一行が円卓の周りに着席すると、女体ケンタウロスはメニューを持ってきた。
 開いたメニューを見ながら軍医タコが、女体ケンタウロスのコックに訊ねる。
「この店の、オススメ料理は?」
「豆腐小僧の『名水豆腐を使った四川麻婆豆腐』がオススメです」
「ではそれを人数分大皿で……取り分けて食べますから」
 女体ケンタウロスのコックが厨房へ消え、数分後に女体ケンタウロスの悲鳴に近い声が聞こえてきた。

「あちッ!! 油が裸体に飛ぶ!! あちちちちッ!! やっぱ、裸で熱した中華鍋振るもんじゃないわ!! あじぃ!!」
 数分後……額にお札を貼られた、裸キョンシー裸女の二人に皿の両側を持たれ、大皿に盛られた麻婆豆腐が運ばれてきた。
 運んできたのがピョンピョンと跳ねるキョンシーなので、テーブルに置かれた時には大皿の麻婆豆腐は、皿の縁から飛び散り大変な状態になっていた。
 それでも、なんとか麻婆豆腐を五人で完食すると。
 熱した油で火傷した上半身に包帯を巻いて、ミイラ・女体ケンタウロスになった店主が編みカゴに入った物体数個を、カゴごとワゴンに乗せて軍医タコたちのところに運んできた。
「これが、太歳です……人数分用意しましたから、お持ちください……煮てよし、焼いてよし、炒めてもよし、漬けてもよし、もちろん生でも食べられます」

 カゴの中にはラグビーボールほどの大きさの不気味な、ゼラチン質の物体が入っていた。
 全体に目のようなモノが付いていて、根のような突起物がウネウネと蠢いていた。

 思わず凍騎は、初めて見た食材に顔をしかめる。
「こんなモノ、本当に食うのか?」
 軍医タコがサラッと言う。
「どうせ食べるのは隊長ですから」と……。

【太歳ゲット!!】



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