オマン湖耐久レース・リベンジD

 加速した戸板車の一番前には、半透明なベトベトさんが腕組みをして立ち。
 戸板車の隣には衣服が千切れ飛び、裸体になったブーツ姿のキョンシー女が、タブレットを両手で持ってピョンピョンと猛スピードで並走していた。
 戸板車の前方には明らかに後続車両の進行を妨害するように【北●の拳】に出てくるような、モヒカン頭の裸盗賊男たち〔通称・ザコ〕の参加ジープ車両が二台……追走するレースのトレーラーを引き連れる形で、横に並んで走っていた。
「ひゃひゃひゃ、なん人たりともオレたちの前は走らせねぇぜ!!」
 縮んだフルチンの裸体にトゲトゲの防具をつけて、中指を立ている姿は……滑稽だった。
 ザコどもが捨てていく淫牌を、コツコツと拾い集めて自分たちのトレーラー内にセッセッと整牌していた。キョンシー女が口を開く。
「そろそろ牌が揃ったので、ここらでアガりましょうか……リーチ」
 宣言した直後にザコたちが捨てた裸の男牌に、キョンシー女は目を輝かせる。
「その捨て牌、アタリ! ロン!『男色一気快感』繋がれ男ども! 連結合体!」
 トレーラーの中で十四人の男たちが、チ●コア●ルで繋がる。
「うぉぉぉぉぉ!?」
「ひぎいぃぃぃぃ!!」
「いてぇぇぇぇぇぇ!!」
 汗だくになった男たちが腰を動かす……壮絶な光景だった。キョンシー女が勝ち誇ったように当り牌を捨てたザコ車両を指差す。
「おまえたちの敗因は、属性が異なる女牌ばかり集めて男牌を安易に捨てていったことだ……捨てられた男どもの恨みを思い知れ……中華四千年秘技、天誅落雷拳」
 当り牌を捨てたザコの車両に晴天の雷が直撃する……麻雀漫画でお馴染みのシーンだ。
「しぃびぃびぃびぃ!」落雷をくらったザコは道路から吹っ飛びリタイヤした。
 残ったもう一台のザコ車両が蛇行走行で妨害をはじめる。
 半透明なベトベトさんの裸体を通して、前方の蛇行車両を見た尻目が言った。
「アレって走行妨害だよね。どうする、レースの違反者を監視する人。すぐには来てくれそうにないし」
 赤い三日月口のベトベトさんが言った。
「任せて、あたしの妖怪能力で道を譲らせる……通りゃんせ通りゃんせ、ベトベトさんが通りゃんせ」
 いきなり、蛇行走行していたザコ車が横へ避けて。
「ベトベトさん、お先へお越し……はっ?」
 と、道を譲る。戸板車に乗ったベトベトさんたちはザコ車を「ど〜うもぅ」と言いながら追い越して行った。


 遥か先頭を独走する『マッパ号』の運転席では、自動運転モードにした我美がタブレットを片手に空いている方の手で、助手席に座る乙姫のマ●コをヒマ潰しの玩具にしてクチュクチュと遊んでいた。
 海岸線近くの道路を走るマッパ号の車内で、乙姫は惚けた喘ぎ声を漏らす。
「あぁぁ……ふぁぁ」
「乙姫さまのマ●コもうトロトロっすね……それにしても、前方にも後方にも一台もレース参加車が見えないってのも、退屈なもんっスね……レース中はツモあがりで一つか二つ軽くポイント稼いで、闘牌タイム地点で大きな役作って高ポイント稼ぐ作戦っスから焦る必要はないスね」
 我美の片手が乙姫の股間から離れ、乳房の方へ移行して今度は、乳いじりをはじめた。
 我美の手がやっと性器から離れた乙姫が言った。
「はふッ……我美、あたしと運転代わりなさいよ」
「乙姫さまが手動で運転するんすか? まぁ、別に構わないっスけれど」
 路肩に停車して、助手席と運転席を乙姫と我美は入れ替わった。
 ハンドルを握った途端、乙姫の表情が変わる。
「ずっと、触られっぱなしで欲求不満溜まっていたのよ! ちんたら自動運転で何がレースよ! スピード出して激走してこそ『オマン湖耐久レース』よ!!」 乙姫はアクセルを目一杯吹かして、爆走をはじめた……速度は二百キロを軽く越える。
「これこれ、裸体を風が包むこの感覚がオマン湖よぅ!! きゃはははは!」
「乙姫さま……今回のレースは、そんなにスピード重視のレースじゃないっス……こんなスピードで走っているとレース違反者『監視人』が……」
 我美がそう言った瞬間、空からレーザーのような熱光線がマッパ号の前方に照射され。
 乙姫はマッパ号をスピンさせて急停止させた。
 上空からスピーカーを通した声が聞こえてきた。
《そこの裸の女が二人乗った、速度違反車両止まりなさい! 止まらないとレーザーZビ●ム撃っちゃうぞ!》
 我美は撃ってから忠告するなと思った。

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