オマン湖耐久レース開催決定〔プロローグ〕@

 和洋折衷の墓石が並ぶ海を望む丘にある外人墓地……墓石には片仮名で外人っぽい名前が刻まれている。
 その墓場の丘で一人の怪女〔怪獣裸女〕が、潮風に髪を揺らしながら朝焼けに染まる海を眺めていた。
 下半身が戦車になった恐竜戦車怪女の『恐華』だ。



 恐華が見ている朝日の中に三つの黒点が現れ、こちらに向かって飛んでくるのが見えた。
 黒点は近づいて来るにつれて、飛行物体の輪郭が明確になってきた。
 飛んでいるのは裸女の頭部、腕と胸部の上半身、脚と腰部の下半身だった。
 飛んできた頭と分離した胴体は恐華の前に、足の方から合体するように着地した。
 ガシャーン! ガシャーン! ガキーン!



 恐華の前で人間形態に変わった【ロボット怪女】『キング・ジョー華2』が言った。
「ちゃんと約束した時間通りに『怪●墓場』に来たね、感心感心」
「あのぅ……どうして墓地を待ち合わせ場所に?」
「怪女にとって、ココは故郷みたいな場所なのよ……さて、本題に入りましょうか。恐華、この間の『オマン湖耐久レース』でのあなたの順位……最下位だったわよね、ゴールしたのが優勝チームから遅れること四日後」
「はぁ……」
「はぁ、じゃないわよ。頑張ったコトは認めるけれど……少しは悔しさはないの?」
「別に……あたし下半身戦車で、スピードタイプじゃないし。元々パワー重視だし」
 ジョー華は、自分の額を押さえて首を横に振った。
「情けない……あなたが遅いコトを責めているワケじゃないけれど、レース向きの怪女が恐華しかいなかったのは事実だけれど……ただね、怪女グループとしては、リベンジしたいわけ……恐華、このレースに出場しなさい」
 そう言ってジョー華は一枚のビラを見せた。そのビラには【『第二回オマン湖耐久レース・リベンジ』主催・ロボット怪女グループ】と、印刷されていた。
 恐華が言った。
「あたし、スピードでは、出場しても負けますけれど?」
「そんなの最初から、わかっているわよ……恐華にスピード勝負は期待していないから、今度開催するレースはスピードだけじゃ勝てないから……恐華は、麻雀みたいなゲームは得意だったわよね」
「多少は……」
「あなたのために『淫牌ゲェム』を考案したから、それならスピードは関係ない頭脳戦だから。レースは二人一組出場にしたから、誰かパートナーの心当たりある?」
「タンク繋がりでなら一人……別グループの裸女でも良かったら、心当たりありますけれど……レースの優勝賞金と賞品とかはどうするんですか?」
「賞金の方はなんとかする……賞品は十年アルコールに漬け込んだキン●マの瓶詰めがある」
キン●マのアルコール漬けなんて欲しがる人いるんですか?」
「い、いるわよ……たぶん、前回のレース参加者には全員通達をして参加を募る」
「スポンサー……いた方が賞金確保できるんじゃないですか? レースの運営も怪女主体よりは、上手くいくんじゃ」
「あっ……」
 ジョー華は、恐華に指摘されて照れ臭そうに顔を赤らめた。


 数時間後……宇宙にある『地球人強制進化プロジェクト推進委員会』本部。
 六角柱が並んだような段々畑のような一番上の段から、見下ろしている家畜宇宙人三柱〔ウシ・ニワトリ・〕の姿があった。
 三柱の近くには、それぞれの家畜宇宙人に仕える専属裸族人類が立っていた。
 ボディービルダーが肉体を誇示するように、全裸で筋肉誇示ポーズを続けている。
 たくましい裸体の、牛側男性裸族人類『霜降り筋肉の黒毛』〔語尾は「〜なんだな」〕

 二つの乳房を両手で包み隠して、揉み回している。ニワトリ側女性裸族人類の『手ブラの天紅』〔語尾は『〜かもね』〕

 小柄で童顔でありながら精力絶倫の、裸身にフード付きウィンドブレーカーを羽織った。ブタ側男性裸族人類の『種男のディロック』〔語尾は「〜なんだね」〕の三名がいた。



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あきゅろす。
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