巨チンの森・ムラムラ村@ 森の『巨チン』出現

 愛欲市の島から海上に架かる鉄橋を通り、到着した陸地の駅から路線バスに乗り換えた軍医タコ一行は、次の目的地に向かっていた。
 バスの中で、軍医タコが破華姉ぇに訊ねる。
「次の目的地は、どんな場所ですか?」
『巨チンの森のムラムラ村』……森の中にある、極々普通の面白味のない村。そこに『生命の粘土』があるから」
「そうですか、普通の村ですか」
 バスは水田風景の広がる田舎道を走る、田んぼの中に入って作業をしているのは全員が若い男女で、全員が農耕笠を被った裸体農民だった。
 稲刈りをしている隣の水田では、裸の娘たちが横一列に並んで田植えをしていた。
 破華姉ぇが説明する。
「この水田地帯では、一年中稲作が行われているの……二毛作、三毛作……多毛作なんて比じゃない。遺伝子組み替えでカビの遺伝子を組み込んだバイオ米が、恐ろしいスピードで成育するから田植えから収穫まで、一週間のサイクル……ムラムラ村は、もっと先よ」
「見たところ、稲作作業をしているのは若い男女ばかりですね……年配の方は?」
「年配者は田舎の生活を嫌って、都会に出ていっちゃってね……農村に残るのは若い裸の男女ばかり。アナザー・エデンの田舎地域はどこも深刻な老人不足でね……古いしきたりとか風習を後世に伝える老人がいないから、伝統とか伝承が廃れて消えていくばかり。村に残った若い男女は夜はやることがなくて子作りばかりしているから、村の人口はウナギ登りに増えていく……困ったものね」
 バスに揺られて来た、軍医タコ一行は森入り口のバス停でバスを降りた。ここから森のムラムラ村までは一本道で徒歩だ。
 腕組みをして考えていた軍医タコが、思い出したように触手を打ちつける……ヌチャ。
「ずっと何かを忘れていると感じていましたが、今思い出しました……天狗裸女さん、ヒョウタンの中から紫郎を出して外の空気を吸わせてやってください」
 天狗裸女が、栓を抜いたヒョウタンの底を軽く叩くと、隊長タコのボックスを抱えた紫郎が転がり出てきた。
「うわぁぁ! 溺れる! もう水を注ぐなヒョウタンを揺するな……んっ? ここはドコだ? あのカプセルの上に座っていた女は誰だ?」
「思っていたよりも元気そうですね……スナック菓子袋の底に残った欠片でも、ヒョウタンの中に入れておけば、中で数百倍に膨れ上がって飢えるコトは無いでしょう……天狗裸女さん、またヒョウタンの中に吸い込んでおいてください」
「ちょっと待て! 状況の説明を……うわぁぁ!!」
 紫郎と隊長タコは、またヒョウタンの中に吸い込まれ。尻目がポテトチップスの菓子袋の底に残っていた欠片をヒョウタンの口から入れる……軍医タコが言った。
「それでは、『巨チンの森のムラムラ村』に、行くとしますか」


 しばらくして、成層圏に待機している秋を除いた一行は『巨チンの森』に到着した。尻目が森の木々の葉を見て言った。
「ヒイラギの葉〔クリスマスの時に出てくる、ギザギザノコギリみたいな鋸歯葉〔きょしは〕のアレ〕に似た葉っぱを付けた木の森ですね」
 軍医タコ一行が森を見上げていると。突如、森の木々が揺れて全長五十メートルはあろうかと思われる巨大な裸女が木々の上から頭を覗かせた。
 ネギ色のツインテール髪……背中には背ビレが並び、長いハ虫類の尻尾が尾骨から生えている。軍医タコが言った。
「あれは……エビ側とカニ側のハイブリッド裸族人類の『美久』? アナザー・エデンにも居たのですか? それにしてもあの美久は大き過ぎる……体も、乳房も」
 下から見上げる美久のアンダーバストは……でかかった。
「美久の類種……美紅といったところですか」
 次々と、森の中から上体を起こして出現する巨大美紅ゴ○ラ……そして、さらに強大なエネルギー上昇と地鳴りが起こり、超巨大な全長百メートルを越える裸の若い男性が森の木々を吹き飛ばして出現する……美紅と同じく裸体に背ビレと長い尻尾があり、巨大なぺニスがビクククッと跳ねた、ぺニスの跳ねた衝撃波が木々をなぎ倒す。
 尻目が生唾を飲み込みながら叫ぶ。
「ごくっ……『巨チン』だ!」





[前戯へ][後戯へ]

33/44ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!