クライマックスB さらば【愛欲市】


 三日後の夜……軍医タコ、尻目、破華姉ぇ、天狗裸女、熱盛の五人は再び屋上にやって来た。
 教頭は羞恥のあまり学校にも島にも居られなくなって、どこかに去り。
 催眠能力が消えた騎竜は、父親、母親、クラスメイトで父親の愛人の女子生徒とも打ち解けて上手くやっていた。
 この数日は家族五人で仲良く、寝室で夜の営みを行ったらしい。
 幽霊の幽路が屋上に現れる。

 軍医タコがカプセルの点滅変化している、デジタル数字をカウントする。
「5……4……3……2……1……0」
 チーンという音がして、カプセルのフタが開き。中に両目を閉じた幽路にそっくりな呪術師の全裸クローン体が横たわっていた。
 残留思念が、自動洗浄が終了した自分のクローンを見て呟く。
《美人ね……クローンだから非処女、これからこの肉体が子孫の復活に使われるのね。で、※…………
 呪術師のクローンは、呼吸をするたびに胸が上下していた……クローニングの設定で『記憶再生ナシ』を選択したので、このクローンの頭の中は白紙状態だ。
 軍医タコが幽路に言った。
「さあ、先祖の肉体に入ってください。足の方を合わせて、肉体に重なるような気持ちで仰向けになってください」

 幽路が肉体の上に座る形で爪先を合わせる、腰まで憑依合体するとゆっくりと仰臥に倒れ。
 肉体に吸い込まれるように幽体の幽路は消えた。
 大きく深呼吸をした幽路の顔が赤らむ……一年ぶりに肉体を得た幽路が目を開け、ゆっくりと上体を起こすと肉体を確認するように乳房と秘部を触る。
「あたし……生きている」
 熱盛が幽路を抱き締める、目に涙を浮かべた幽路も強く熱盛を抱き締め返す。
「熱盛……好き」
「オレは幽路を守る」
 熱盛がカプセルから幽路をプリンセスだっこで抱え上げ。軍医タコが用意した、エアーマットの上に降ろす……そして二人は星空の下で体を重ねる。

 軍医タコたちは、熱盛と幽路を屋上に残したまま……静かに立ち去っていった。
「あの二人なら愛のあるセックスをしてくれそうですから問題なさそうですね……わたしたちは、このまま次の目的地に向かいましょう」

 そして……軍医タコ一行は愛欲駅から、海上の架橋を蒸気機関車で次の目的地へと向かった。小説を読んだ年に流行していた、適当な言葉を語尾に入れて読んでください。


【愛欲市後日談】……軍医タコ一行が『愛欲市』から旅立ち……数ヵ月が経過した頃。
 昼間、一人の熟女が騎竜の学校へやって来た。
 校舎内でヒップを妖艶に振りながら歩く、美貌熟女の頭には人間耳とは別にケモノ耳が付いていて、ヒップには尻尾が生えていた。
 生徒たちの、ケモ耳熟女を見て囁く声が聞こえてきた。
「アレ、ケモ耳熟女女優の月影緋華理〔つきかげ ひかり〕じゃないか?」
「そうだよ、どこかで見た顔だと思ったら、遺伝子操作されて誕生したケモ人間種族の女優・月影緋華理だ……代表作は、ケモ耳熟女たちが娼婦役で本当に男たちと寝る『ケダモノ熟女の館』のオーナー役……どうして、こんな場所にいるんだ?」
「先日公開された、ディープ東郷監督の最新作映画『シスター・ウォーズ〔最初の受胎〕』に出演していたの、オレ観た……修道女姿で開いた股から、白い疑似精液が溢れているシーンはスゴかったな」
 生徒たちが、あれこれ話しているのを聞き流して進む、月影緋華理は騎竜のクラスのドアを勢い良く開けて言った。
「このクラスにいる、騎竜という名前の男子生徒は、どの生徒? すみやかに名乗り出なさい」
 分厚いエロ本を読んでいた騎竜が顔を上げる。
「騎竜はオレだけれど?」
「あなたが騎竜……想像していたよりも好青年じゃない」
 月影緋華理は、ズカズカと騎竜に近づくと、いきなり騎竜の前で床に三つ指をついて正座をして言った。

「わたくしの身に、騎竜さまの御子が宿りました……ふしだらなマ●コの嫁ですが、よろしくお願いします」
 高校生に頭を下げる熟女の姿に教室内はどよめいた。


【愛欲市後日談】おわり




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あきゅろす。
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