クライマックスA 真実は一つ!?とは限らない

 二階の端の教室に軍医タコたちは入った、人の気配は無く机の上に一冊の厚い本が置かれていた。
 軍医タコが置かれていた書物を触手で開き見る。
 ドアの方から騎竜の声が聞こえてきた。
「やっぱり来たか……タコ」
 騎竜の手にはガソリンが入った携帯缶があった。
 軍医タコが言った。
「間に合いましたか……早まって廃校舎に火を放つ前に。ダメですよ……短絡的な行動は後悔しますよ」
 騎竜を見た熱盛が、いきなり騎竜に殴りかかる。
「おまえだったのか!! どうして幽路を【対価】に引き込んだ!! 子供の頃にオレと幽路が遊んでいるのを遠くから眺めているだけだった内気な、お前がなぜ? 答えろ騎竜!!」
 問いの答えを聞くより先に、騎竜の胸ぐらをつかんだ熱盛の拳が騎竜の頬に接近する。
 軍医タコのヌルヌル触手が熱盛の拳連打を反らす。
「熱盛くん、言葉と行動がチグハグですよ……殴りながら質問しても、相手は答えられないでしょうが……落ち着きなさい」
 熱盛は騎竜の胸ぐらから手を離す。
 軍医タコは開いた本のページを、騎竜の方に向けて言った。
「謎はすべて解けました、教頭先生は『廃校舎の鍵は一つだけ……廃校舎の裏口は、施錠してから一回も開けていない』と言っていましたが、アレは嘘ですね……頻繁に裏口の錠は開けられています、外側と内側から……この鍵で」
 軍医タコが開いて見せた本のページには、先端が『У』型になった教頭が見せた鍵の合カギが、本の数ページをくり貫かれた箇所に入っていた。

「この鍵は教頭と騎竜くんの密約の証し……でも鍵と錠は、これだけじゃない。教頭が知らない第三のキーロックが裏口ドアの内側に取り付けられている。それがこの遠隔電子キーです」
 軍医タコは、本の別のページのくり貫きから、スマホサイズの遠隔キーを取り出して見せた。
「これを使って、この教室のモニターに映る監視カメラの画像から、自在に施錠と解錠を行っていましたね……わたしたちが最初に裏口の鍵を確かめた時、かけられていた鍵はこの遠隔ロックだけだったのですね……あの時、騎竜くんはこの教室からモニター画像を見ていた」
 自嘲気味な笑みを浮かべる騎竜。
「参ったな……そこまで、バレたか……こりゃ観念した方がいいかな……と!」 いきなり騎竜の目が紫色の催眠眼に変わる、最初に相手に催眠をかける時の強力な眼力だ。
 騎竜は、軍医タコたちに催眠暗示をかけようとした。
 だが、騎竜の目に映ったのは破華姉ぇが瞬時に作り出した、結晶の鏡柱に映る自分の姿だった。
 騎竜の目から自我の光りが消える。
「あっ!?」
 軍医タコはあらかじめ、破華姉ぇに騎竜が施術行動を起こした時の対処を伝えていた。
 自分が仕掛けた催眠術に自分でかかってしまった騎竜。
 軍医タコが、自我の目の輝きを失って立ち尽くす騎竜に質問する。
「現在の自分の状況を説明しなさい」
はい……オレは自分が仕掛けた催眠術に、自分でかかってしまいました
「暗示を発動させたり解除したりするキーワードは、この厚い本のページに赤ペンで書かれている、牛とか馬とか石とか葉っぱとかの言葉ですか?」
「はい、それがキーワードです」
「一つだけ質問しますから正直に答えてください……なぜ、幽路に【対価】をさせたのですか」
 騎竜が虚ろな目で答える。
「羨ましかったから……子供の頃、いつも熱盛と仲良く遊んでいた二人が羨ましかった。
幽路は子供の時……『あたしは熱盛くんと将来結婚するから、騎竜くんのお嫁さんにはなれない』と言った。
高校生になった二人が、急接近していく姿が憎かった、愛を壊してやろうと思った」
 騎竜の頬を涙が伝わる、それを見た熱盛は言葉を詰まらせる。
「騎竜……おまえ」
 軍医タコが騎竜に指示する。
「衣服を脱ぎなさい……脱衣しなさい……全裸になりなさい、靴だけは履いていてもいいですから」
 騎竜は衣服を脱いで裸になった。
「裸になったらオナニーしなさい」
「はい……オレはオナニーをします
 騎竜はチ●コをしごきはじめた。



[前戯へ][後戯へ]

31/44ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!