彼氏と母の事情@

 月の裏側に浮かぶ『タコ型母船』……その日、タコ型宇宙船内を図書館代わりにして勉強をしていた響子に、英字新聞を読んでいた軍医タコが訊ねた。
「そういえば、もうすぐ響子さんの誕生日でしたね……何か欲しいモノはありますか?」
 勉強の手を休めて響子が答える。
「特にこれと言って欲しいモノは……」
「それでも何かあるでしょう……装飾品とか家電製品とかペットとか、なんでもいいんですよ言ってみてください」
「そうですねぇ……モノじゃなくて、あたしが今一番欲しいものと言えば『彼氏』ですかね……セックスフレンドとか、そういうのじゃなくて普通に彼氏が欲しいかなぁって、きゃあっ! 言っちゃった」
 赤面した響子は机に顔を伏せる。
「そうですか、彼氏ですか……ふ〜ん」
 この時、軍医タコが意味深な笑みを浮かべていた。

 別日……タコ型宇宙船を訪れて、軍医タコから健康診断を受けている。新人類の『たこスケ』とパートナーで着衣人類の『百鬼姫』の姿があった。
 裸のたこスケを、聴診器で診察している軍医タコが言った。
「はい、健康体でなんの問題もありません……打診もしてみますね」
 股間を葉っぱを貼って隠しただけの百鬼姫は、円柱形椅子に座って葉っぱの下の性器をクチュクチュとオモチャにして、たこスケの診察が終わるのを待っていた……最近は、たこスケのチ●コを随時触っているせいなのか。
 百鬼姫のチ●コ発作はおさまっている。

 たこスケの胸板を触腕でトントンと打診しながら、軍医タコが言った。
「しかし不思議ですねぇ……隊長の細胞が混入されているのに、どうしてこんなに地球のタコそっくりの姿になってしまったのか?」
 たこスケの頭部は地球のタコそっくりで、見る者の目に理想とする男性像として映るようになっている。



 たこスケと百鬼姫の健康診断が終わった軍医タコが言った。
「で……このタコ型母船に源ロクさんの人力車で連れてきてもらった。本当の理由を話してもらえませんか」
 百鬼姫が言った。
「母性に飢えたたこスケが、母親を作って欲しいんだとよ」
「母親を作る? ロボットとかアンドロイドとか……そういう機械の母親類ですか? それなら量産タイプの機械兵士を一体からオーダーメイド生産してくれる、イソギンチャク型宇宙人の星を知っていますから……そこに頼めば、人工皮膚を被って外見上は人間と区別がつかない母親を、整列する軍隊のごとく作ってもらうコトも」
 たこスケが言った。
「いいえ、温もりを持った生身の母親が一人だけ欲しいのです……ご存じのようにボクは創造主の、生命の粘土から誕生した新人類です……両親の精子と卵子から誕生したワケではないので、母親の胸に一度も抱かれた経験が無いので……寂しくなって」
「母親だけでいいのですか? 父親は?」
「はい、母親だけで結構です……それ以上の贅沢は言いません」
「息子より後から誕生する母親で、単品の『人体創造』ですか……う〜ん、創造主が追放された今、たこスケさんの希望する母親を作り出すのは……」


【裸族人類が存在する退屈でない世界】……響子の自宅、響子が眠るベット。
 響子は卑猥な夢を見ていた、夢の中で全裸になった響子は、同じく全裸の見知らぬ男性と夢の中で抱擁を続けていた。
 男性の胸板から伝わってくる心臓の鼓動と肌の温もり……生々しい淫夢だった。
 顔を上げて男性の顔を見る響子 。
 響子を抱きすくめている男性の顔面には白い靄〔もや〕のようなモノが漂っていて、はっきりとは見えない。

 なぜか響子には、その男性の顔が理想の男性の顔に思えた。
(あぁ……)
 響子と男性が夢の中でキスをする、舌が絡まり響子の頭の中がジンワリと白くなる。
(んッ……んんんッ)
 密着した下腹部に男性の勃起したペニスが触れ、響子はそのペニスにも自分が理想とする硬さと形をしているペニスだと知った。
 抱擁キスで背中を擦られながら、響子の体はゆっくりと後方に倒れる。

 真綿のような感触の雲のベットに裸体を横たえた響子の体を、夢の男性は丹念に擦って愛撫する。
 触られるほどに響子の股間に開いた蜜花は、淫蜜を染み出させ……自分でも信じられないほど……濡れた。



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あきゅろす。
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