強襲B

 一階の食堂にいる者たち……特に男性客は意味深な笑みを浮かべながら、ベットの軋み音と男の呻く声が見上げて呟く。
「二階は激しく腰振って、お楽しみ中だな」

 だが、二階で行われていたのは、男性客たちが想像している行為を超越していた。
 ベットの上に着衣姿で仰向けにさせられた初老の薬剤師の手足には、全裸で騎乗して腰を上下させている村娘姿のティティスの背中から伸びる。
 半透明な触手が絡み付き、薬剤師の抵抗を封じていた。
「うぅ……うぅ」
 薬剤師の顔にも半透明の触手が巻き付き、ティティスは薬剤師を女性騎乗位で犯しながら。
 王宮薬剤師の記憶を吸い上げていた。
 室内で蠢くティティスの背中から出ている触手から、凍騎は手にした石板状の末端に接続送信された、薬剤師の記憶データを眺めながら呟いた。
「そうか……王宮のサーコ姫が、対触手用の生物兵器なのか……本人は、まったく気づいていないだろうが……王宮内に侵入している黒触手たちに伝えよう……サーコ姫の処女膜を破瓜するように」

 凍騎はティティスに、両目を触手で塞がれ犯されている薬剤師を見て言った。
「おまえの脳髄から記憶をすべて、抜き取って脳内を初期化する……黄色触手たちが、データ保存用の優秀な生体メモリーを探していたから丁度いい。シナプスが発達している、おまえの脳細胞なら大容量のデータを保存できそうだ……これからは、触手軍が触侵した惑星の記録媒体として、その脳髄を有効利用して何百年も生きられるんだ……触手王の慈悲に感謝しろ」
「うぅ……うぐッ」
 王宮薬剤師は記憶を抜き取られながら、騎乗するティティスの中に射精した。

 王宮中庭のバラ園……数日後に婚礼の儀を控えたサーコ姫は、一人咲き乱れる赤いバラの中を散策していた。
 サーコ姫を少し離れた位置から警護しているのは、騎士団のユズキだった。
 ティアラを被った可憐なサーコ姫を見ている、ユズキは胸の高鳴りを抑えようとする。
(あぁ……サーコ姫さま)
 ユズキはサーコ姫の姿を王宮騎士入団式で初めて間近で見た時から、姫に特別な感情を抱いていた。 それは、身分違いの許されない感情だと頭では分かっていても、消し去るコトができない強い感情だった。
(あぁ……姫、サーコ姫)

 最初は純粋な恋愛感情を抱いていたユズキだったが、サーコ姫の婚礼の日程が決まり。
 その日が近づいてくるにしたがい、邪〔よこしま〕な欲望が心の中に広がってきた。
(サーコ姫の体を自分のモノにしたい……姫の身も心も奪いたい!)
 抑えきれないドス黒い性欲にユズキは、そっと甲冑の中でムクムクと首を持ち上げてきた男のモノを鎧の上から手で押さえる。
 その時……ユズキの耳に囁く声が聞こえてきた。
《サーコ姫を欲しているのなら、欲望に従え、力で奪え》
 声が聞こえてきた方向に目を向けると、給事女と一緒に自分が所属する騎士団の、女騎士団長が立っていた。
「欲望を解放しろ……サーコ姫が、おまえ以外の男に初夜で抱かれてもいいのか」
「騎士団長……いったい何を言っているのですか。わたしはサーコ姫に対して、そんな感情は……」

 いきなり、女騎士団長の甲冑を給事女が脱がしはじめた……唖然とするユズキの前で、甲冑から下着までも脱がされ、女騎士団長は赤いバラ園で全裸になった。
 平らな胸……がっしりとした肩幅の体型……そして、股間には女性にはあり得ない器官が、ぶら下がっていた。
 言葉を失うユズキ。
 女の顔に男の体をした、女騎士団長の背後に黒い触手たちがユラユラと鎌首を持ち上げる。
 悪夢の光景の中……呆然と立ち尽くしているユズキの背後に、いつの間にか背中を這い上ってきた黒い触手がユズキの耳元で囁く。

《おまえが慕う騎士団長の体をよく見ろ、おまえの体にも同じモノが付いているんだろう……そのおまえの肉槍で、姫の貞操盾を貫け》
「わたしが姫の処女を奪う……?」
《そうだ、我ら触手も協力する。おまえの姫に対する自分でめ気づいていなかった秘めた欲情が、我ら触手を王宮に呼び寄せた……サーコ姫を奪え、誰に遠慮をする必要がある》

 ユズキの首筋に触手の先端から鋭い針が出て、ユズキの首に邪心エキスが注入される。
 ユズキは、触手の言葉を受けて呟いた。
「そうだ……サーコ姫をお救いするためには、姫の貞操を奪うしかない。おそらく、姫は隣国王子との婚礼の儀は、心の底では望んでいないに違いない……姫を、お救いするのは騎士の務め」
 ユズキは、王宮に戻ったサーコ姫を追って、フラフラと歩きはじめた。


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