最終忍びの章

 龍千代と虎千代を融合させた肌色の卵から、現れた人間の上半身は。半身が男性、半身が女性の奇妙な容姿をしていた。

 端正な顔立ちでイケメン髪の男性半身側は男性の胸板と適度な筋肉質。

 肩まで髪が伸ばされた黒髪美女の女性側半身は美乳と、くびれた腰の見事なボディーラインだった。

 殻を踏み崩して、新しい龍千代と虎千代が畳の上に立つ。
 半身が男女の体の股間には、男性の性器と女性性器が付いている。
 ティティスが説明する。
「どうせ融合するなら、半身を女性染色体に変えてみました。外部生殖器は男性と女性……内部生殖器は女性生殖器の子宮と卵巣が片身に半分だけあります、精巣は男性半身の股間に片方だけあります……これで世継ぎを作ることもできます」

 男女半身人間に変えられた龍千代と虎千代が、腰に両手を当てて威風堂々と魔賀と妖賀の忍びに向かって、男女の混声で言った。
「余の名は『龍虎丸』〔りゅうこまる〕……新忍び将軍である!! 頭が高い!! 控えおろう!!」
 魔賀と妖賀の忍び衆は、龍虎丸の威厳に平伏した。
 新忍び将軍に向かって頭を下げている、魔賀と妖賀の忍びたちを、寝具の上に仰向けで横たわったライナ姫は、快感に意識を失った女忍者の女体を火照る裸体で抱き締めながら。
「最初から、その方法で良かったんじゃ……はふッ」と、呟いた。


 数日後……『龍虎丸』が新将軍職に就いた話題でエドの町が盛り上がっていたころ……エドの町の上空を、ゆっくりと飛んでいく『宝船』に偽装した触手宇宙船があった。

 宝船型宇宙船の甲板に立ったティティスが、眼下に広がるエドの町で、こちらを指差して大騒ぎしている町人たちを眺めながら凍騎に言った。
「それにしても、古代の機械触手のような。あんな【触侵】もあったんですね……勉強になりました」
『忍者と共存しながら、触手寄りの文明を星に築いていく』……平和的な独自の触侵だな。すでに太古から裏で人間支配を続けてきた青色触手にとっては、それが一番効率がいい触侵なのだろう……こんな触侵の星が一つくらいはあってもいい」
「そうですね」
 凍騎とティティスを乗せた宝船型の宇宙船は、やがて雲を抜けて『忍法惑星』の引力圏を離脱していった。


 翌日……エドの町の辻に、威勢がいい瓦版屋の声が響く。
「さあさあ、おエドの空に。またも空飛ぶ宝船が現れたっていうから驚きだ、前回は空から降りてきてフジのお山の森蔭消えちまったが……今回は突然空に現れて雲の中に……おっと、少し喋り過ぎちまったようだ。詳しく知りたい奴はこの瓦版を買って読んでくれ」
 町人たちは、先を争って瓦版を求める。
 エドの忍びの町は今日も天下泰平だった。


【忍法惑星】触侵完了?



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あきゅろす。
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