膣が、あたしはB
軍医が投げたダーツは、地図パネルとは反対方向に居た隊長タコの頭に突き刺さる。
眉間にダーツの矢が刺さった瞬間……隊長タコは「あ゛ッ」と短い声を発して、立ったまま白目を剥いて。
軍医タコはバツが悪そうに隊長タコから視線を外す。
「間違えました……今のは見なかったコトに」
二度目のダーツの矢は、狙った通りに地図パネルの、ある場所に突き刺さった。
「情報があった場所は『触手洞窟』です……その洞窟の奥に黄金色に輝くキ○タマが、鈴なりに実っているのを見た人がいるそうです……出発する前に少し、この世界の復習をしておきましょうか……蘭花は、地球がどんな形をしているのか知っていますか」
「どんな形って……それは」
蘭花は月面で銀牙とセックスしながら見た、蒼い地球を思い浮かべる。
「マルです……球体です」
「果たしてそれが本当に地球の姿でしょうか?」
「えっ? どういう意味ですか」
「モノの本質はさまざまな方向から眺めてみないと、真の姿は把握できないというコトですよ……どうやら、蘭花たちにも地球の本当の姿を見せる時が来たようですね」
「地球の本当の姿?」
「これが地球の……真の姿です」
そう言って、軍医タコがタブレットを操作すると、空間に三次元立体映像が出現した。
それは、海亀の首に尻尾を巻いた海蛇の体を天空として……甲羅の上にブリッジをした裸の女を乗せ……女の腹の上には四頭の巨象、さらにその上に半球の大地が乗った奇妙な世界だった。
蘭花が驚きの声を発する。
「な、なんですかコレ!?」
「これが世界の真の姿……この次元の創造主〔神〕が、混沌〔カオス〕の無の中から、天地の有を創造した世界……原種裸族人類のオスの【ポチ】と、メスの【タマ】の二人が誕生した【淫約聖書】の世界です……もっとも半球の上に乗っていた【エデンの園】は、小惑星の衝突で壊れちゃいましたけれど……蘭花が見ていた、丸い地球は、もしかしたら半球や平らな世界の一方向から見ている、世界なのかも知れませんよ……ふふふ」
「【淫約聖書】ってなんですか?」
「裸族人類共通の神話みたいなモノです……むかし、むかし、この世界を創造した創造主は『オレって何気にすごくねぇ? モデラーみたいに』と、自画自賛で調子に乗って、男の【ポチ】女の【タマ】そして女体に男性性器を持つ【ヘビ】の三体を創造しました……彼らはまだ、自分たちが裸でいるコトに気づいてはいませんでした」
軍医タコは、裸族神話をユーモアを交え、多少内容を湾曲させながら語った。
「……と、いうワケで外銀河系から【旧支配者】の邪神と化して、地球に舞い戻ってきた創造主は留守中に繁栄していた裸族人類の【旧神】と、アホでエッチな戦いに明け暮れるのでした……めでたし、めでたし」
裸族人類の淫約聖書を聞き終えた、蘭花、銀牙、響子の三人は「そうなんだ……へえ〜っ」と、感心した。
軍医タコが言った。
「それでは『触手洞窟』に向けて出発してください……響子は源サンのリヤカーに乗ってください」
「あのぅ、あたし風呂場から直行したから裸なんですけれど……クシュン」
「これは、うっかりしていました……衣服をとり寄せますから、それを着てから出発です」
軍医タコは、『お取り寄せホール』の中に触手腕を伸ばすと、女性下着上下とスカート丈が短い、ブレザーの制服を取り出して響子に手渡した。
響子は、軍医タコから渡された衣服を着る。
「響子が着ている衣服は、某暗殺拳法の伝承者の怒りで千切れた衣服が、次週には元に戻っているのと同じ原理の繊維で作ってあります……ボロボロに引き裂かれても、元の状態にもどるので心配しないでください」
「はぁ? そうですか」
響子は、なんとなく今回の冒険は、着人類の衣服が引き裂かれ脱がされる場面が多くなりそうな……そんな予感がした。
自己再生する衣服を身につけた響子に、リヤカーを引っ張る体勢に入った源サンが言った。
《準備が出来たら乗りな、韋駄天走りの源サンが連れて行ってやるぜ》
響子がリヤカーの荷台に乗り込むと、源サンは手の平に唾をつけて気合いを入れた。
《行くぜ! 来い、金斗雲!》
源サンとリヤカーの周囲を金色の雲が包み、フワッと浮かぶ。
蘭花と銀牙も、白い翼を背中から出して飛行体勢に入った。
軍医タコが言った。
「お行きなさい……光り輝くキ○タマを求めて」
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