ゾンビ・ワールドD〔ラスト〕

 また、一歩……二人は腕を伸ばせば抱き合える距離まで近づく。
「エデン・シンドロームが発症した響子を救うために、赤いゴキブリ星でエッチもしたよね」
「赤い大地での蘭花は、激しく腰を振っていたな」

 蘭花と銀牙が互いの裸体を抱き寄せるために両腕を伸ばす……ツボの中から乙姫の悲鳴が反響した。

 そして……蘭花と銀牙は抱擁した。
 蘭花と銀牙の体が高エネルギーに転換され、膨大なエネルギーの熱量が瞬時に、裸の女がブリッジした腹に四頭の巨象が乗り、その上に半球体の全世界が乗っかった『裸族人類が存在する退屈でない世界』を包み込んでいく。



『ゾンビ・ワールド』は、高エネルギーの白色恒星のような輝きの灼熱球体の中で……蒸発消滅した。

 数光年離れた宇宙空間の小惑星の上に胡座座りをして、高エネルギー球になって消滅した『ゾンビ・ワールド』を眺めていた我美が呟いた。
「こんな離れた空間にまで高エネルギーの熱量が伝わってくるっス……あれは、誰も助からないっすね」
 我美の、水着跡が白く抜けた日焼け肌の、下乳と腰骨と内股の位置に紫色をしたゾンビ染みが広がっていた。
「地球外ウィルスと融合変異したゾンビウィルスに、ボクも感染してしまったっス……さてと、裸族人類には時間はたっぷりあるっス。これから何をやるっスかね」

 立ち上がった我美は、両腕を上げて伸びをすると。頭頂から竹の葉っぱヘリコブターを生やす。
「笹の葉もボロボロっスね……とりあえず、ヒトデ星に里帰りでもしてみるっス」

 我美は淫乱ライダーの変身アイテムを手に言った。
「……変身」
 我美の両目がグルンと白目に裏返り、すっぽんぽん裸族人類の日焼けした女体の腰に、ゲーム系淫乱平成ラ●ダーの変身ベルトが現れる。

 アイテムをバックルにセットすると、我美の動きがギクッシャクとした、ゾンビ特有の動きに変わった。
「少々、デンジャラスな〔危険な〕ゾンビっス……うひっひひひっ」
 我美は頭の笹葉を回転させて、自分が改造されて誕生したヒトデ星へと向かった。


 数ヵ月後……我美の体から拡散したゾンビウィルスに、ヒトデ星全体が感染して「あ゛──っ、あ゛──っ」と呻きながら両腕を前方に突き出して。
 ノタノタとヒトデ惑星を徘徊する腐ったヒトデ型宇宙人たちの姿があった。

【ゾンビ・ワールド】おわり


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あきゅろす。
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