ゾンビ・ワールドC

 並列世界の『ゾンビ・ワールド』から、時間と空間を越えて『白霧の死者の船』にやって来た蘭花は『伝説の樹の下』で、こちらの世界の銀牙とのセックスで精を体内に注いでもらっていた。

 健康体の銀牙はゾンビ蘭花の腰を支えて対面座位の体位に変える、仰け反ったゾンビ蘭花の背中から朽ちた翼が突出する。
 喘ぐ、ゾンビの蘭花。
「あッ、あッ、あッ……やっぱり、銀牙のチ○ポ最高……濃い精液出して、中出しして、熱い精を注いで!」
「はぁ、出すぞ……中出しするぞ……オレの熱い愛を、そのゾンビの体で受け止めろ……うッ!」
 どぴゅ……びしゅっ……ドクッドクッ……並列世界の蘭花に注がれる新鮮な精液。
「あぁぁぁッ……イクゥゥゥ」
 ほぼ、同時絶頂をする二人……精気が並列世界の蘭花の汚れた翼を純白な、無垢の翼に甦えらせる。

 銀牙がペニス抜去すると、並列世界の蘭花は嬉しそうな目で銀牙を見た。
「はふーっ、ありがとう……これで、あたしの世界に帰れる」

 立ち上がった並列世界の蘭花に、こちらの世界の蘭花が訊ねる。
「良かったね、帰ってどうするの?」
「とりあえず、向こうの世界で待っているゾンビ化した銀牙と抱擁する……それが、あたしがタコ神二号さまから受けた指示だから」

 天使のような白い翼を広げた蘭花が、爽やかな笑顔で言った。
「それじゃあ、あたし、ゾンビ・ワールドにもどるね……いろいろと、ありがとう」
 銀牙が言った。
「あっちの世界にいる、ゾンビのオレによろしくな」
「うん、じゃあ」

『ゾンビ・ワールド』からやって来た。並列世界の蘭花が青い空へ飛び去っていく様子を、こっそりと船に忍び込んでいた我美は『伝説の樹』の木蔭から覗いていた。

 ゾンビ・ワールド、蘭花と銀牙が待ち合わせの建物……曇り空を見上げていた銀牙は、雲天を裂くように差し込んできた幾本もの光りの筋を見た。
「帰ってきた……蘭花が、ゾンビ・ワールドに」
 雲の切れ目から光りの柱に包まれるように、白い翼を生やした全裸の蘭花が静かに降下してきた。
 両目を閉じて、両手を胸の前で交差させて乳房を隠した、その姿は神々しく……まるで聖母か大天使を連想させた。

 銀牙と軍医タコが待つ建物の天井穴を通過して、床に爪先からトンッと着地した蘭花が、閉じていた目を開けて微笑む。

「ただいま……銀牙」
「お帰り……蘭花、綺麗な体だ」

 軍医タコが、反物質化した蘭花に言った。
「蘭花、覚悟はできていますか……これから起こるコトの覚悟は?」
 蘭花は、唇を噛み締めてうなずく。
「はい……タコ神二号さま、蘭花はこれから銀牙と最後の抱擁をします

 蘭花と銀牙は軍医タコから聞かされて知っていた。
 もどってきた蘭花の体は反物質化していて、ゾンビ・ワールドの特定の物質と触れることで高エネルギーに肉体が転換されて……この世界が消滅してしまうコトを。
 その接触する物質が銀牙の肉体であるコトも、二人は知っていた。

 軍医タコが言った。
「この世界〔ゾンビ・ワールド〕は作って常温放置したカレーが数日後に酸味を増してきたような世界です……腐敗が進行するカレーを元の状態にもどすコトはできません。腐敗したカレーは破棄するしか方法がありません」
 軍医タコが、さらに言った。
それでは、蘭花、銀牙……強く抱擁をしなさい

 蘭花と銀牙が接近する。微笑む二人の目から涙が自然と溢れてきた。
「この『裸族人類が存在する退屈でない世界』の中で、蘭花を一番愛している」
「あたしも、銀牙のことが大好き……この世界で、一番愛している」

 ツボの中から乙姫の悲鳴が聞こえてきた。
《やめろぉぉッ!! 抱きつくな!! おまえたちが接触すると大変なコトになるぞ!!》

 一歩、進みながら蘭花が銀牙に言った。
「ねぇ、覚えている……ゴールデンボールのキ○タマ集めで、いろいろな場所へ行ったよね」
「あぁ……巨人の国では肛門と口を巨人の太い木串で貫かれ、蘭花と連結して串刺しにされた……なんとなく、焼き鳥になったみたいで楽しかったな」

 また一歩、進んで蘭花が言った。
「未来から来た、乳派の『ターンエー』と、尻派の『裸族エース』の姉妹もいたね」
「あぁ、あの姉妹、未来で仲良くやっているかな」



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あきゅろす。
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