新人類はタコの交尾を見るか?A
立ち上がって、仲間の死体を見下ろしている、タコ人類男性の目に涙が滲む……誕生したばかりの彼には、目から出ている液体の意味と心の底から湧き出してくる悲しみの感情がなんなのか理解できなかった。
「タコ……タコ」
彼も数分前は、創造主から心臓と頭を貫かれて絶命していた。
仲間の死体に埋もれる中……奇跡が起こった。
タコは心臓を三つ持っている、血液を体内に送る心臓と二つの鰓〔エラ〕の近くにある心臓が……仲間の一人が絶命していた彼に、活動可能な心臓を与えた。
タコは足にそれぞれ、脳がある……神経の束のような考える機能は無いが、運動神経の脳が。仲間の数体が彼に脳を与えた。
他の仲間の遺体も彼の破損した部分を再生させるために、残っていた命を分け与えた……彼は仲間から未来を託された。
生き残ったタコ人類は仲間の一人が絶命寸前に、口から吐いたスミで床に指先で書いた文字を眺める。『タコスケ』……彼はそのダイイングメッセージのような言葉を、自分の名前にした。
裸のタコスケは、仲間の死体を残して、静かに部屋を出て行った。
タコスケは路地裏に風雨に晒されて落ちていたエロ本を発見した。
全裸で、しゃがみ込んだタコスケはエロ本で言葉を覚えた。
「タコ……マ○コ……チ○ポ……キ○タマ……気持ちいい」
さらにタコスケは自分のぺニスを擦り、自慰をするコトを覚えた。
「チ○ポ……しごくと気持ちいぃ……マ○コ……触ると気持ちいぃ……あぁぁぁッ」
こうして、新人類にとってエロ本は経典となり、タコ人類が最初に覚えた行為はオナニーとなった。
タコスケは近くの工事現場に落ちていた鉄パイプを拾うと、同じく落ちていたボロ布にエロ本を包みパイプに結びつけて旅に出た、自分と同じタコ人類のメスを探す旅に。
森にある毒沼のような泉まで来た時、タコスケの前を銀色のキ○タマが詰まった、網袋を持った空中クラゲがスーッと追い越していった。
追い越す際に袋の底に開いていた穴から、キ○タマが一個転がり出て泉〔毒沼?〕の中にポチャンと落ちた。
空中クラゲは、銀色のキ○タマを落としたコトに気づかずに行ってしまった。
タコスケがキ○タマが落ちた沼を見ていると、ゴボッゴボッと毒沼の中央が湧き上がり『裸族人類が存在する退屈でない世界』では定番の泉の女神が現れた。
現れた女神がタコスケに訊ねてきた。
「あなたが落としたのは、この金のキ○タマですか? それとも、こちらの銀のキ○タマですか?」
「いやっ、オレのキ○タマじゃないから……そもそも、キ○タマ落としていないから」
女神の顔がニッコリと微笑み耀く。
「あなたは、とても正直な方です……正直な、あなたには金と銀のキ○タマを両方あげましょう」
「もうキ○タマ二個持っているから、これ以上いらないから」
「まぁまぁ……そんなに遠慮なさらずに、金と銀のキ○タマを練って一つにしたモノをお渡ししましょう」
女神は手の中で二つのキ○タマを練って、金と銀のマーブル模様のキ○タマにした。
「少し大きめのキ○タマができました……これを、あなたの股間に……うっふふふ」
鬼気迫る笑みを浮かべる女神に、身の危険を感じたタコスケが後退して逃げ出そうとする。
「逃がすか! とぅぅぅ!」
ジャンプした女神はタコスケを押し倒すと、タコスケの玉袋をつかんだ。
悲鳴を発するタコスケ。
「ぎゅあぁぁ!!」
「ふふふっ……怖くない怖くない、ちょっとキ○タマを引き抜くだけだから……そりゃあ!!」
女神はタコスケの袋に切り込みを入れると、キ○タマを力任せに二個とも引き抜く。
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
女神は引き抜いた片方の袋に、練った金と銀のキ○タマを押し込む。
「キ○タマ移植完了……ほぅら、前より大きな立派なキ○タマになった……もう片方の袋には、ずっと落とし主が現れない、この機械の玉を組織に癒着するように……うっふふふ」
女神はガチャポンの透明カプセルのような、球体容器に入った『モン●ターボール』のようなモノをカプセルごと、グイグイと袋に押し込む。
メカ・キ○タマを癒着させられ、意識を失ったタコスケを見下ろしながら女神は、白い体液が付着した手の甲で額の汗を拭う。
「ふぅ……良いことをした後は爽快ですね、タコですので傷口はすぐにふさがると思いますから……それでは」
そう言い残して、女神は入水するように毒沼の中に消えていった。
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