新人類はタコの交尾を見るか?@


『歴女台地』……とある、日本の城を模した。集合住宅の一室に置かれたカウチソファーに並び座って、テレビ中継を観ている裸の男女がいた。
 男女の頭にはハロウィンのカボチャが被せられ、身体を見る限りは若い年齢の肉体だった……二人が観ていたのは『オマン耐久レース』で、優勝者が賞品のゴールデンハンマーを受け取っている中継だった。

 カボチャランタンを被った女が、隣に座っている男に言った。
「創造主が優勝しちゃったね」
「うん」
「今でも恨んでいる?」
「別に……創造してくれた者に恨みはない」
「そっか」

 カボチャ女は隣室に目を向ける、隣の部屋のベットの上では全裸で股間に葉っぱをヒモでくくり付けただけの、中学生くらいの女の子が仰向けの格好でスヤスヤと眠っていた。

 髪の毛は黒髪で、鋭い刃物で切られたような、ザックリとした前下がりショートボブヘアだった。

チ○ポ発作も治まって、大人しく眠っている……見た目は中学生なのに、これで二十代前半の年齢だなんて」

性感帯や性的な感覚が四十八体〔48体〕の裸女に奪われているから、成長も止まっているんだ」
「正確には、あたしを数から引くから『四十七体の裸女』だけどね」

 ソファーから立ち上がったカボチャ女は、ベットで眠っている少女に近づくと、股間を隠している葉っぱの下に手を入れてクチュクチュと、少女の性器をいじくりはじめた。

 性器をこねくり回されても、少女は無反応で眠っている。
 やがて。葉っぱの下からいじくっていた指先を出したカボチャ女は、少女の性器から溢れた粘る愛液の糸を指先で弄びながら言った。

「こんなに濡れているのに何も感じないなんて可哀想に……あたしに分配されていた愛液が、体にもどっただけじゃダメなのね……残り四十七体の裸女に奪われたモノがもどらない限り。この子、百鬼姫〔ひゃくきひめ〕に性的な幸福は訪れない」

 カボチャランタンを被っている男性が、カボチャを外そうとするのをカボチャ女が制する。
「創造主に見つかると、酷い目に会わされるかも知れないから……まだ被っていた方がいいよ」

 カボチャ男がカボチャ・ランタンを被り直すと、カボチャ女……歴女『ジャクリーン・オー・ランタン』の視線は男の股間に注がれる。

 陰茎の下……片方の睾丸は、ガチャポンの透明なカプセルのようになっていて。中に機械的な『モン●ターボール』のようなキ○タマが入っていた。

 ジャクリーンが男に訊ねる。
「いつでも好きな時にキ○タマボールを投げつけて、あたしをゲットしてもいいよ……もう、起動に必要なキ○タマエネルギーは十分に玉に充填されているんでしょう」
 カボチャ男は首を横に振る。
「そのうちにゲットする……創造主が追放されていない今は、まだ動くには早いから……タコタコ」
 と、言った。


 話はオマン耐久レースが開催される以前の『鳥茅早市国』創造主の隠れ家にもどる……廃業した町工場の作業場を改装した芸術家の工房を連想させる場所では、まさに惨劇が行われている真最中だった。
「失敗作じゃ!! おまえたちは失敗作じゃ!! ひょひょひょ」

 手にした牛刀で、頭部がリアルタコの、創造したばかりのタコ人類を切り刻む創造主。
 逃げ惑うタコ人類の男女が、無惨にバラバラにされていく。
「失敗作のクセに、セックスで有卵生殖を行い、子孫を残そうなど言語道断じゃ!!」
 刃物を振り回す創造主の姿には鬼気迫るモノがあった。

 美しく整った裸身の、新しいタコ頭人類たちの、バラバラになった肉体が床に転がる……血は一滴も流れていない。
 創造主は、新しい人類のアダムとイヴを始末すると、部屋から出ていった。

 数十分後……積み重なった死体の山がモゾモゾと動き、一体のタコ人類の男性が這い出してきた。
「タ……タコ……!?」


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あきゅろす。
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