第二話・創造主の巨人製造計画@

 その日……いつものように女将ニッポンの居酒屋にやって来た土門カシスに、狭い厨房の中から裸身にフンドシ姿の『女将ニッポン』が、静かにCDプレーヤーを差し出した。
「軍医タコさんからの伝令よ……CD―Rに声が録音されている」

 土門がCD―Rを再生すると、なぜか隊長タコの声が聞こえてきた。
《軍医、このマイクで録音すればいいのか? 軍医が書いた文章を読めばいいんだな……あーっ、あーっ、マイクテスト。マイクテスト》

 土門は隊長タコの声に顔をしかめる。「どうして、クソタコ野郎の声が録音されているんだ!」
「知らないわよ! あたしだって我慢して最後まで聞いたんだから、土門ちゃんも聞きなさいよ! 言っておくけれど、早送りしようとすると最初から再生されるからね」

 渋々、土門がCD―Rを聞いていると。隊長タコの話しは幼少の思い出から愚痴話……さらには、どうでもいい雑談や世間話、誰でも知っていそうなウンチク話へと続いた。
 二十分を過ぎた頃……ついに耐えられなくなった土門が奇声を発して、再生プレーヤーを叩き壊そうと居酒屋の椅子で振り上げる。
「ガ──ッ!!」
 すかさず女将ニッポンが、なだめ止める。
「子供じゃないんだから、もう少し我慢して聞きなさいよ! そろそろ本題に入るから!」
 隊長タコの長い自慢話や怪談話が終わり、やっと本題に入る。

《……と、いうワケで青ざめた稲川ジュンジは慌てて、深夜の墓地から逃げ出したのだった……軍医から渡された用紙の文面から、だいぶ脱線してしまったな。要するに『創造主が進めているエデンの園を下から支える、巨人製造計画を阻止するために【成長促進液】を積んだ車両を奪い、巨人を地下室から解放しろ』ってコトだ……なお、この文章を読み終わった隊長は自動的に爆発する……おいっ、軍医最後の言葉の意味は? ひっ! ぐはぁぁ! あっべっし!》

 ボフッという何かが破裂した音が聞こえ、録音された伝令は終了した。
 女将ニッポンが一枚の用紙を土門に手渡す。
「運搬車両のルートと、巨人が地下にいると推測される場所……巨人がいるのは『傀儡遊園地』の地下らしいわね。乙姫が知らない間に巨人製造が行われていたらしい……傀儡〔くぐつ〕遊園地には響子を同行させてくれって、軍医さんの方から。今回はタコ側裸族人類はお休み……タンクローリー組と巨人解放組の、二グループに分かれて行動しましょう」

 渡された用紙を眺めながら土門が、女将に訊ねる。
「今回、召集可能な探偵団のメンバーは?」
「依頼の内容からの人選と各自のスケジュールを合わせると……怪盗『黒女豹』透明裸女『トウカ』超女『ハルカ』それと、あたしの四人……あたしは、トウカとハルカの方を担当するから土門ちゃんは黒女豹の方をお願い……元カノの機嫌を損なわないように誘ってね」
 土門は、参ったなぁといった感じで頭を掻いた。


 その頃……ニワトリ側裸族人類の天紅は、某所のファストフード店で『恥骨少女』と『裸千匹皮』に会って創造主と対抗できるメンバーの中に選ばれた二人に、他のコンピューターが選んだ人物たちと協力するように説得を続けていた。

 椅子から立ち上がっていつものように脱衣して、ショーツを太ももと膝の間で上げ下げしている。脱衣人類の恥骨少女が言った。
「あなたの話しは良くわかった……創造主打倒には協力する。だけどあの女と一緒にやるのだけは絶対にイヤ……裸千匹皮と、あたしは創造主と対抗する時になったら。あの女とは別行動でやる」
 天紅は恥骨少女の言葉に困った顔をする。

「やっぱり、どうしても乙姫と我美のコンビとは相性が悪いメンバーもいる……かもね。やれやれ……かもね」
 天紅が肩をすくめていると、フード付きウィンドブレーカーを裸体に着たブタ側裸族人類『種男のディロック』が小柄な体躯の股間に、ぶら下がった立派なチ○ポをブラブラさせながらやって来た。

 ディロックが言った。
「天紅、今回はボクは響子と行動を共にするんだね……黒毛が創造主のお母さん経由で入手した情報だと。傀儡遊園地の地下に、囚われて愛液を採取されている、惑星リラの女たちがいて。ボクのコレでメンタルケアしてあげるんだね……ついでに響子にも、突っ込んでみたいんだね」

 ディロックが指差した先にある、チ○ポがビクンッと跳ねた。
 天紅は性欲丸出しのチ○ポを見て。
「やっぱり、ディロックのチ○ポは交尾をしたがっているだけ……かもね」と、言った。

 黙って今までの恥骨少女と、天紅の会話を聞いていた裸千匹皮は。
(乙姫って誰だっけ?)
 と、首をかしげた。

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あきゅろす。
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