【触手洞窟】@

 軍医タコが円錐に串刺しになって、ピクピク蠢いている隊長を無視してショジョに訊ねる。
「唐突な展開ですね……いきなり、ゴキブリ星からは助けを求めて宇宙船で現れるとは。タブレットにはこちらに来るとメールは届いていましたが……それは創造主の『エデン再生計画』です、衝突すれば赤いゴキブリ星と地球に甚大な被害が出ます……おそらく地球側のどこかに引き寄せている装置があるのでしょう二手に分かれて、装置を停止させないと……天紅さん、地球側の装置が隠してありそうな場所の情報はありませんか?」

「ちょっと待つ……かもね。今、黒毛に連絡して聞いてみるかもね」
 自分が産んだ卵にイースターエッグのようにペイントしてリボンを巻き終わった天紅は、裸身の腰にいつも吊るしている携帯電話ケースから、スマホを取り出して黒毛に電話した。


【創造主空間】……星雲や星団が遠く見える空間に浮かぶ、キューブ型の引きこもり部屋……その部屋が創造主の隠れ家的空間だった。

 創造主の部屋の向かい側には、アパートが浮かび。その二階の一部屋を間借りした黒毛が、創造主の部屋を窓のカーテンの隙間から監視していた。

 全裸で創造主の部屋を監視している黒毛の部屋に、姉の爆乳裸族人類『ホルスタイン』が様子見でやって来た。

 乳牛のような乳を揺らしながら、ホルスタインが黒毛に訊ねる。
「どう? なにか動きはあった?」
「なにもないんだな……創造主は引きこもった、まんまなんだな」
 ホルスタインが、乳牛のような乳房を揉み回すと。ピュッと乳首から母乳が吹き出す。

 黒毛が言った。
「ホルスタイン姉さんは、搾乳されるために妊娠させられているんだな
「これが、あたしたちウシ側裸族人類の宿命だから、地球の乳牛もミルクを搾乳するために……人工受精させられるから。ウシ側裸族人類のメスは妊娠期間は百年以上と長期間だから」

 ホルスタインも、黒毛と並んで創造主の部屋を監視する。
「あの、創造主空間は創造主が作り出した万能空間……食事は望めばドアの前に配膳され、汚れた洗濯物をドアの前に出しておけば、クリーニングされて戻ってくる」

「それだけじゃないんだな、希望の物品名を書いた紙をドアの下に出しておけば購入されるんだな、室内で出たゴミも袋に入れてドアの前に出しておけば処分してくれるんだな……トイレと入浴と外出以外は、あの部屋から出なくても生活できる『閉鎖された神人空間』なんだな……あッ、ドアが久しぶりに開いたんだな」

 部屋の中から、古代ギリシャ神話のゼウス神のような格好をした老人が、黒いゴミ袋を片手に現れた。
 老人=創造主は、ゴミ袋をドアの前に置いてドアに鍵と貼り紙をすると、持っていた木の杖でトンッと足元の空間を叩き。現れた渦巻き状の光りに包まれ瞬間移動して消えた。

「どっかに出掛けたんだな……どこに行ったんだろうな」
 その時、黒毛の頭の中に天空からの携帯電話通信が届いた。裸族人類は通信器機とか受信装置が無くても電波を生体で受信するコトができる。
「天紅から電話なんだな……もしもし、うんうん、ちょうど創造主は出掛けたところなんだな。ちょっと待って。ドアに貼られている紙の文字を裸族人類の視力で読むんだな……え──と『地球の【触手洞窟】に仕掛けた装置が正常に作動しているか見てくるから、しばらく部屋に食事は運ばなくていい』だ……そうなんだな」

 黒毛が貼り紙の文面を読んでいると、創造主の年老いた母親が部屋の前に置かれたゴミ袋を回収しているのが見えた。


 赤いゴキブリ星と、地球の衝突を避けるために【赤いゴキブリ星】にはタコ側裸族人類の蘭花と銀牙、それと女将ニッポンと、ゴキブリ人類ショジョの四人。

【触手洞窟】には、土門カシスとアイアンレディ……それとなぜか軍医タコの指示で着衣人類の響子の三人が向かった。




[前戯へ][後戯へ]

8/84ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!