邪神のリベンジB〔土門カシス登場〕

 部下のリーが、リラ博士に続けて質問する。
「その『追放者被害者の会』って、いったいどんな集まりなんです? 今一つ実態が見えてこないんですけれど」

「文字通り、様々な理由で惑星を追放された者たちの集まりだ。自分たちを追放した者たちに抱いている鬱憤〔うっぷん〕と恨みを、同じ境遇の者同士で吐き出してスッキリするのが一番の主旨だ」

「要するに愚痴を言い合うネガティブ会なんですね……ところで、装置を作動させたからには裸族人類は停止させるために『赤いゴキブリ星』に来ますか?」

「(何気なく『追放者被害者の会』から、会話の流れを変えたな)そりゃあ当然、阻止するために来るだろうな」
「楽しみですね、あッ! サインもらうためのペンと色紙用意しないと」

 リーの言葉にリラ博士は「をいっ!」と、軽くツッコミを入れた後……「とりあえず、バンツくらいは穿いてくれ」と、念を押した。


 裸族人類が存在している退屈でない地球の某所……店内に演歌が流れる、昭和ティストたっぷりのレトロな居酒屋。

 カウンター内には和装姿でタスキ掛けをした女将が一人、おでん鍋で煮ている具の煮え具合を菜箸を刺して確認している。
 店内にはカウンター席に座った、ロングコート姿の人間客が一名……それと、人外のお客が一名いた。

 カウンター席に座って、乾き物を食べていた額に赤いヘッドバンドを巻いたロングコート姿の男が、女将に向かって言った。
「女将、いつものドラム缶で……」
「はいよ、呑み過ぎないでね土門ちゃん」

 カウンター内の女将は男の前にドラム缶に入った炭酸飲料を勢い良くドーンと置く。
 ドラム缶から吹き出した、炭酸の飛沫がカウンター席を濡らす。

 びしょ濡れになりながら、ロングコートの男はドラム缶からジョッキですくった強炭酸飲料を仰ぎ呑んで唸る。

「かぁーっ、この喉が焼けるような強炭酸の一杯がたまんねぇ!! 女将……脱げ!!
「あらっ、もう脱衣のご指名……今日は早いわね」

 まとめた後ろ髪を下ろした女将は、ごく当たり前のように和服を脱いで全裸になると、額に日の丸のハチマキを巻き。神社の締め縄をタスキ掛けにして、股間にフンドシを締めた。

 そして近くに置いてあった鉄扇を手にポーズを決めると。
「日本大好き! 女将ニッポン!」と、言った。
 半裸人類の女将ニッポンの、魅力的なヒップを肴に炭酸飲料を呑んでいた、ロングコートの男が椅子から立ち上がる。

 ロングコートの下は漫画の変態仮面が穿いているような、レスリング水着をさらに過激にしたような『マンキニ』と呼ばれる水着を男は着用していた。

「女将がニッポンになったら、オレも自己紹介しないと『第四の障壁』の向こう側に居る者に悪いからな」
 男の片手が炎でメラメラと燃える。

「オレのこの手が真っ赤に燃える! 尻をつかめと轟き叫ぶ! 聞け、オレの名は半裸人類『土門カシス』! 女将、尻を触らせろ」





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あきゅろす。
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