髪に付着した『人工ザーメン』からはじまる恋もあるB【誕生秘話おわり】

 マフラー付きの強化服を着て、変な人格スイッチが入ったキュウちゃんは、熱く愛し合った男性のコトなどコロッと忘れ「加速装置!!」と叫ぶと、岬に向かって走り去ってしまった。

 完全にキュウちゃんの姿が見えなくなると、墓標の地面が長方形にパカッと開き、棺の中に全裸で横たわって眠っていた性ボーグの男性が上体を起こした。

 軍医タコが昨日、キュウちゃんと激しく愛し合っていた男性に訊ねる。
「これで良いんですか?」
「あぁ……彼女は最新型、オレは旧式。性能が違い過ぎる、一緒に居ても壊れるのはオレの方が先だからな……これでいいんだ」
「旧式の性ボーグなら、生身の部分も多いですから。その部分を培養すれば、人間にもどるコトも可能ですよ」

 男性は苦笑しながら、棺の中で自分の裸体を触って言った。
「それだけは、やめておく……一度は死んだ身だ、どうせなら性ボーグとしての思い出を胸に機能停止まで活動したい……オレは、昨日のセックス具合から、あとどのくらいまで動ける?」

「一年半……と、いったところですか」
「最後の女主人を見つけて、ご奉仕するには十分な時間だ」

 男性は棺の中から立ち上がる。
「しかし、軍医さんも酷いタコだ。オレと彼女の性能チェックを同時にするために、わざとオレと引き合わせるなんて……おかげで、いい思い出はできたが……全部、最初から仕組んでいたんだろう」

「キュウちゃんが組織を逃げ出して、この機械島に来たのは偶然ではありません……キュウちゃんを改造した組織の中にも、ケン・フラン教授を敬愛している者もいますからね。彼女は自分の意志を剥奪された奴隷性ボーグになるような低性能のサイボーグじゃありませんから」

「奴隷性ボーグ……自我を奪われたオレが味わった屈辱……軍医さんが脳の再改造で助け出してくれなかったら、オレは一生自分がわからないまま、命じられて腰を振り続けているところだった……さてと」

 男性は棺の中から、円筒形で口を巾着袋のように紐で締める、ダッフルバック〔軍人とか昔の船員とか、あしたのジョ○が肩から提げていたアレ〕を取り出すと、棺から出てフタを閉めた。

 フルチンを左右に揺らしながら、男性は軍医タコに背を向け片手を挙げ、歩きながら言った。

「最後のメンテナンスありがとう……これからは、最新型性ボーグの彼女のメンテナンスを頼む。今まで世話になったな軍医さん」

 軍医タコは去っていく男性の背中に向かって、深々と頭を下げた。


 その頃……海原を見渡す岬に到着した『裁縫部・キュウちゃん』は、ぜかましパンツを脱ぐと、M字開脚で岬に座りグヂュグヂュとオナニーをはじめた。クリトリスが小さい角のように勃起してくるのがわかった。

「スピードなら負けませんよぅ……あッ、あッ、あふッ」
 夢中でオナニーをしている、キュウちゃんの頬を本来なら流れないはずの涙が一滴だけ……ツゥーと顎先まで伝わり落ちた。


【裁縫部・キュウちゃん誕生秘話】おわり



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あきゅろす。
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