髪に付着した『人工ザーメン』からはじまる恋もあるA

 男性に抱きつき、絶頂の余韻を感じながら、肉体をクールダウンさせている九号女性が言った。
「ごめんなさい……気持ち良すぎて、先にイッちゃった。アへ顔でピースサインをやりながらの絶頂なんて、見られて恥ずかしいです」

「我々、性ボーグはさまざまな状況に対応した。セックスリアクションができるように改造されているからね……おそらく、君の性本能プログラムが相手が一番興奮するように、そのリアクションを選んだのだろうね」

「あたしの、アへ顔ピースを見て興奮しましたか? 喜んでもらえましたか?」
「あぁ……興奮して、すぐに射精してしまったよ。最高の体と……素敵なアへ顔だった」
「嬉しい……また、この部屋でエッチしてくれますか……明日も、この部屋に来てもいいですか?」

 九号女性の問いかけに、少し暗い表情をした旧式性ボーグの男性は首を横に振る。
「ダメだ、君はもうここには来ない方がいい」
「どうしてですか?」
 男性は理由は告げずに、ただ九号女性をギュッと抱き締めた。


 翌日……ぜかましパンツを穿いた九号女性が部屋を訪れると、そこに男性の姿はなかった。昨日、エッチをした革張りの手術台の上には丁寧に折り畳まれた、毛布が置かれていた。

 九号女性が、折り畳まれた毛布を持って戸惑っていると、背後から軍医タコの声が聞こえてきた。
「やはり、この部屋に来てしまいましたか……こうなることがわかっていたから止めたのに」
「彼は……どこに?」
「一緒に来てください、見せたいモノがあります」
 九号女性は軍医タコに案内されて、城の外にある墓標群の場所にやって来た。
 軍医タコは、新しい墓標を触手で示す。
「彼はここに眠っています」

 墓標には『性戦士ここに眠る』と、刻まれていた。
 九号女性は複雑な気持ちで墓標に触れる……不思議と悲しみの気持ちは起きなかった、改造されたからなのか涙は流れなかった。

 九号女性が言った。
「昨日は、あんなに激しく腰を振っていたのに……どうして急に」
「彼は旧式でしたからね、まだ動いているのが不思議なほどでした」

 軍医タコは九号女性に、持ってきた衣服を手渡す。
「もう、その体にも慣れたでしょう……機械化男爵が用意してくれた強化服です」

 九号女性は、渡された衣服を着る。



 軍医タコが言った。
「あなたの名前も決めないといけませんね……何か覚えているコトはありませんか?」
「そうっすね……学生で裁縫部の部長をやっていたらしいってコトと……この首のドッグタグに刻まれた」

 女性は『No.9』のタグを軍医タコに見せる。
「番号だけです」

「ナンバー、九番……キュウちゃん……裁縫部……あなたの名前は今日から『裁縫部キュウちゃん』です」

「はい……あたしの名前はエッチな改造人間……裁縫部キュウちゃんです」

「キュウちゃんは、オナニー大好きです」
「はい、あたしはオナニー大好きな、変態性ボーグでーす
「では、島の岬でしばらく海を眺めなから、オナニーをしてきなさい」
「は〜い、オナニーしてきまーす」



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