オナくんの世界@『恥骨少女』登場

 オナくんが学校でオナっていた頃……蘭花と銀牙は日本国に到着していた。

 全裸カップルの蘭花と銀牙は、河原の土手を並んで歩く。
 前方から自転車に乗って走ってきたオッチャンが、裸の蘭花に驚いて土手から河の中に自転車ごと滑り落ち。

 小学生のグループが「露出狂の変態カップルだぁ!」と、二人を指差して騒ぐ。
 カップルと言われて、蘭花は少し嬉しそうな顔をした。
(あたしと銀牙って、周囲から見ると本当に恋人同士に見えるんだ……えへっ)

 蘭花が着衣人類の時なら『露出狂の変態』の言葉の方に反応を示すはずなのだが……人は変われば変わるものだ。

 蘭花と銀牙が手を握って、オナくんの学校に向かっていると、制服姿のケイサツカンが後方から二人に職務質問をしてきた。

「ちょっと、前方を歩く。え──と全裸の男女。あっ、あんたはこの間の……女湯を探していた……今日は裸でどこへ?」

 すかさず蘭花と銀牙は、黄色いケロリン桶とタオルを取り出して。
「女湯はどこですか?」
「男湯はどこですか?」
 と、誤魔化した。
 ケイサツカンは頭を掻きながら。
「なんだ、また銭湯とか温泉探しでしたか……え──と、お気をつけて入浴してきてください?」
 そう言って、数メートルほど蘭花たちから離れた、ケイサツカンは立ち止まると頭を掻きムシりながら。

「あ────ッ!! なんだ、このモヤモヤする気分は!! この国はいつからこんな、ヌード全解禁になってしまったんだ!!」と、絶叫した。

 発狂したようにブツブツ呟きながら、歩き去っていくケイサツカンの後ろ姿を眺め、銀牙が言った。

「あのケイサツカンも、洗脳電波を受け入れれば楽になるのにな」
「そうだね、裸族人類や裸女みたいに、脱衣して裸ケイサツカンになれば、気持ちも楽なのにね」


 その頃……オナくんが通う学校の正門に、裸千匹皮と謎の制服少女がいた。
「さて、この柵で閉ざされた向こう側に、どうやって入るかな……壊してもいいけれど」
 裸千匹皮が思案していると、犬型移動メカに片手でつかまった乙姫と我美がやって来て停車した。

 乙姫が裸千匹皮を見て、皮肉たっぷりの口調で言った。
「おやおや誰かと思ったら、裸族大戦の一番大切な日を忘れていて敵前逃亡した、裸千匹皮さんではありませんか……当時と肉体は変わっていますけれど。あたしが誰だかわかりますよねぇ」
 裸千匹皮は、ケン・フラン教授によって別の肉体に甦った乙姫の顔と、豊胸手術で1・5倍に盛られたバストを凝視して言った。

「誰!?」
「乙姫よ!! 別人の肉体でも雰囲気でわかるでしょう!!」
「あぁ、乙姫か……そんなのもいたな。で……そちらのビキニ跡が白く残る、裸族人類の方は?」

「通りすがりの裸族人類……ヒトデ側の我美っす、あなたが裸女最強と呼ばれている『裸千匹皮』っすか」

「最強だなんて、ヒトデ側裸族人類って本当にいたんですね……都市伝説かと思っていた」
「あははは、みんなからそう言われるっす」

 和気相合とした我美と裸千匹皮の会話に、乙姫は強引に割って入ってきた。
「で、そちらの制服を着た小柄な少女は誰? 着衣人類にしては雰囲気が違うけれど」

 少女は制服を脱ぎはじめた……ブラを外し、白いソックスと黒いエナメル靴になった少女は、パンツに指を引っかけて……スウッと太股まで下ろす。

 全部脱ぐかと思われた少女は、恥毛の位置までパンツを一度上げると、また太股まで下げた。
 脱いだり、やめたりの意味不明な行為を繰り返す。

 それを見て乙姫が言った。
【脱衣人類】!? 珍しい存在の着るか脱ぐか優柔不断な進化の道を歩んでいる人類!? はじめて見た」

 脱衣人類の少女が恥毛丸出しで言った。
「あたしの名前は『恥骨少女』……あんたも一回、イッてみる?」

 脱衣人類の恥骨少女がパンツを上げ下げしていると、学校の方から刺股〔さすまた・学校に不審者撃退用に設置してある、棒の先端がU字型をした例のアレ〕を持った男女の教職員が駆けてきた。

 乙姫たちを刺股で威嚇しながら、男性職員が震える声で言った。

「な、なんだ、君たちは学校の正門前で裸で集まって何をしている!! 今すぐ立ち去りなさい!」

 我美が頭を掻く。
「日本国は、裸族人類には面倒な国っすね」
 我美が『裸体証明書カード』を、取り出して見せる。
 途端に態度が一変した男女の教職員が、正門の柵を開けて学校敷地に乙姫たちを迎え入れた。

 男女の教員が深々と我美に頭を下げる。
「失礼しました……裸体証明書を持っているとは、知らなかったもので」
「以後は気をつけるっすよ……かっかっかっ」

 校門を通過した四人は、オナくんの教室に向かった。


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あきゅろす。
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