【天魔界】@

 蘭花と秋とチンチンくんが出発すると、軍医タコは部屋のソファーベッドで雑誌を読みながら、くつろいでいる悪魔の黒夜美に話しかけた……最近は黒夜美も、召喚されていないのに頻繁にタコの所に遊びに来ている。

「ところで黒夜美さん、以前から気になっていたのですが……あなた、もしかしたらコレの裸女じゃないんですか?」

 そう言って軍医タコが触手で持った五センチほどの正方形のシールを見た黒夜美の顔色が変わる。
「わッ、わッ、わぁぁぁぁぁッ!!」

 慌てて軍医タコから、シールを奪い取る黒夜美。
 黒夜美は、奪ったシールの絵柄に頬をヒクヒクと痙攣させる。
「ど、どこからコレを」
「少し前に収集していたモノで……そうでしたか、やっぱり悪魔は悪魔でも、このシールの属性悪魔裸女でしたか」

 軍医タコは同じ絵柄のシールを取り出した。
「な、なんで二枚も?」
「ダブりですよ」
 軍医タコがシール裏の説明を読む。

『不感症魔』の不感波で聖女は不感症……おまもりシールは貼り返して逆転あり。黒夜美さん、あなたの本当の名前は『不感症魔』で……対する天使は聖女をアクメに導く『十字架バイブ天使』ですか」

 黒いマイクロ水着姿で、胡座〔あぐら〕座りをした黒夜美は、参ったなぁといった顔で頭を掻いた。

「軍医のタコには隠し通せなかったか、そうよ! あたしはビック○マンシール裸女よ! 召喚されて普通の悪魔のフリをしていたのよ」

「悪魔だから、おぞましい姿にも変身できるって豪語していたのは?」
「ハッタリよ……ナメられたらいけないと思って、だいたい七つのキ○タマで呼び出せる悪魔が、グリモワール〔悪魔を呼び出す魔導書〕で召喚される正統な悪魔のはずがないでしょう」
「もしかして、その水着とロングブーツは裸女だと悟られない為でしたか? もしかして、不感症を司る悪魔なのに。召喚された時に隊長に『性奴隷契約』結ばされて……絶頂されたのが恥ずかしかったとか」

「うっ!?」黒夜美は顔を真っ赤にして沈黙した、どうやら図星のようだ。

 軍医タコが言った。
「黒夜美さんの、対する天使が『十字架バイブ天使』だったら。ぜひとも、天魔界にわたしと一緒に行ってもらいたいですね……蘭花たちとは別行動で」

「なんでそういう話しになるの……だいたい、タコが天魔界に何の用よ」
「ちょっと気になっているコトがあるもので……もしかしたら、この世界の創造主がもどって来ているのではないかと」
「創造主って、裸族人類にエデンの園を追放された、あの創造主? クトゥルフ神話の旧神ノーデンスや、スーパーゼ○スみたいな髭を生やしたジジィの?」

 黒夜美と軍医タコが会話をしていると、茹でタコのように真っ赤になった隊長タコが怒鳴るながら部屋に入ってきた。

「おいっ!! 軍医! この宇宙船からイカ野郎の宇宙船に命中させられるビーム兵器の類いはないか!! 波○砲とかの強力なヤツをイカの宇宙船にぶちこんでやる!!!」

「どうしたんですが……いきなり物騒な」
「どうしたもこうしたも! おまえはあのネットの書き込みを見てもなんとも思わないのか!」
「あぁ、あの海産物宇宙人を衝突させる目的が見え見えの、成り済ましの書き込みですか……放っておきましょう。一応『惑星なんとか機構』のエージェントに通報しておきました。成り済ましにキツいお仕置きしてくれるはずですから……隊長は書き込みに反応したらダメですよ、成り済ましの思う壺ですからね」
 と、軍医タコは冷静に言った。


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あきゅろす。
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