最初の女体&男体グルメ……日本国へA
乙姫が片手を挙げると、ダンプカーくらいの大きさをした犬型移動メカが「ウ〜ッワンワン」と鳴きながら、どこから現れた。
一瞬、ペリカン型の飛行移動メカも出てきたが、呼ばれていなかったコトに気づくと、何事も無かったようにUターンしてもどる。
乙姫と我美が片腕で、犬型メカの左右にしがみつく。
「犬型移動メカ発進!!」
竜宮城の壁がシャッターのように開き、サイレンを鳴らしながら乙姫と我美が左右に片腕でつかまった犬型移動メカは、海上を波を立てて日本国へ向かった。
数時間後……日本国、某高等学園放課後の中庭。
着衣人類カップルの銀牙と響子は、仲良く並んでベンチに座って談笑していた。
これと言って特別な話しがあるワケでもなく、クラス公認の二人は一緒にいられるだけで良かった。
「それでね、強姦教室の絶対に犯せない、女性教諭のオカ先生は、生徒たちに取り囲まれた絶体絶命のピンチに空へマッハのスピードで飛んで逃げたって」
「マジ? 傑作だな」
二人は手を握ったコトもなければ、キスさえしたコトも無かった……銀牙と響子は、自分たちが『デジモン裸女とデジモン裸男』で進化初期段階の『純愛モン』であることでさえ、気づいていなかった。
そんな二人を茂みから見ている四つの目があった。裸の乙姫と我美だった。
「乙姫さま、あそこのベンチに座っているカップルが、グルメ食材の『デジモン裸女&裸男』のカップルです」
「服着ているじゃない!? まだ自分たちが裸女と裸男だと気づいていないの? 固い皮を被った食材みたいなモノね……下ごしらえで皮を剥かないと」
茂みを通してベンチのカップルを覗いている、裸の女性二人の背後を『裸で外を歩いても平気な電波発生装置』の影響で洗脳されている学園の生徒たちは、不思議そうな表情で乙姫と我美の背中とヒップを見ながら通り過ぎて行く。
「今日のところは、存在確認だけにしておきましょう……裸族人類もグルメ食材を狙ってくるはずだから、アジトで対策を練らないと」
「そうね……それにしても、日本国ってやたらと、裸体で外にいると他人の突き刺すような視線が気になる国ね」
「まだ、裸族人類が存在する退屈でない世界の中では、日本国は、裸体発展途上国ですからね……他の国みたいな、堂々と露出している人は少ないんでしょう」
とりあえず、乙姫と我美は日本国に用意したアジトへと向かった。
数分後……空き地に即席で建てられた、デフォルメ化されたドクロの家にいる乙姫と我美の姿があった。
「ふぅ〜っ、やっぱりアジトが一番よね」
旅行から自宅に帰ってきた、どこぞのオカンのような口調で、ちゃぶ台を前に座った乙姫な茶をすする。
我美はドクロアジトの室内を見回しながら言った。
「アジト、もうちょっとなんとかならなかったんですか……せめて、とんでもないハウスとか。三日月型をした珊瑚礁の秘密基地とか」
「贅沢を言うな! 狭い空き地に裸女能力で出せるのは、これが精一杯なんだよ!」
我美が手拭いで、泥棒被りしながら言った。
「なんか、このドクロアジトにいると泥棒になったような気分だべぇ」
その時、アジトのドアをノックする音が聞こえ、我美が応対に立ち上がる。
開けたドアの向こう側に立っていたのは、制服を着た日本国のケイサツカンだった。
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