竜宮島C

 悲鳴を発した男性の頭上から聞こえてきた女性の声。
「見たなぁ……どうだぁ、女体ケンタウルスになった、知り合いと再会した感想は」

 見上げると木の枝にコウモリのように逆さにブラ下がった。ヒトデ側裸族人類の我美がいた。

 我美の髪は赤く、耳は尖り、羽織ったドラキュラマントが逆さに広がっている。
 我美の股間には腰骨に引っ掛かるように、二本の鎖が股間に向かってV字型に喰い込んでいて。後ろから見るとヒップの谷間にも一本の鎖がフンドシのように喰い込んでいた。

 我美が言った。
「定めの鎖を解き放て……見られたからには、逃がさないよ」
 悲鳴を発して逃げ出す漂着男。
「ひッ!!」
 我美は木の枝から地面に着地する。

「逃がさないって言ったよね……変身」
 我美の髪が荒々しい髪型の青色に変わり、狼のようなケモノ耳が生えてきた。牙が生え、フサフサした房尾が尾骨から生える。陰毛も少し長めの青い陰毛だ。

「ガルルルッ!!」
 鋭い爪と湾曲した青い剣を持った狼女モードの我美が、剣と爪で木と枝を薙ぎ払いながら男を追う。

「ひぃぃぃぃッ!!」
 必死に逃げる男性は、小川が流れる沢へと逃げた。

「ガルルルッ! 往生際が悪いなぁ……変身」
 我美の姿が、また変わった……今度は、魚人のようなヒレ耳が生え、白い水着の跡に魚鱗のような模様が浮かび上がる。

 我美の背中に魚の背鰭〔せびれ〕のようなモノが突出して、髪も直毛になり藻のような緑色に変わった……手には拳銃のようなモノを持っている。
「バッシャー! 逃がさない、逃がさない」

 魚女モードに変わった我美は、口と銃口から強烈な水の固まりを飛ばして木々を撃ち抜いていく。

「うわぁぁッ!」
 必死に逃げる男性は、ついに崖まで追い詰められた。

 我美が言った。
「鬼ごっこは、これで終わりだよ……変身」
 我美の姿が三たび変わる。

 今度は、金髪の乱れた肩までの長髪となり、片目の下に涙が流れたような縫合痕が現れた。
 肩から肘までの腕の間や太股〔ふともも〕にも、グルッと取り囲む縫合痕が現れ。さらに腹部にも半楕円型の縫合痕が現れ、股間の白くなったビキニラインへ繋がっていた。

 首にも電極のようなモノが出てきた……人造人間女〔フランケンシュタインの怪物〕モードになった我美の手には、巨大で重量感たっぷりのハンマーが握られている。

 我美が巨大ハンマーを振りかぶる。
「これで終わりだよ! ドッカーン!」

 我美がハンマーを地面に打ちつけると、衝撃で大地が震るえ、電流が男の体に流れた。舞い上がる枯れ葉と土石。

 男は電気ウナギに感電したように、崖から転げ落ちていった。
「あわわわわわわわわッ!!!」


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あきゅろす。
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