竜宮島B
竜宮島の夜の森……三日月の月の光りの中を一人の若い男が、さ迷っていた。
枝に引っかかって破れた衣服の男は、数週間前に外洋を航海するクルージングで、クルーザーが竜宮島と衝突して漂着した男だった。
巡航居住空間を備えた、外洋クルーザーには男の他にも二人の若い女が乗っていた。
二人の女は島に衝突した衝撃で海に投げ出され、行方不明になっていた。
砂浜に中破した外洋クルーザーで漂着して負傷した男は、島の洞窟に傷が癒えるまで潜んで体力が回復するのを待っていた。
男の視線の先には、森の上に見える城の尖塔があった。
(あそこに行けば誰かが……)
男性は森の中を尖塔を目指して歩み続ける。男の足が止まった……男の視線の先に、上半身裸の二人の女性が森の中にいた。下半身は茂みに隠されていて見えなかったが、その二人の顔には見覚えがあった。クルーザーから海に投げ出された女性二人だった。
「良かった、無事だったの……か」
思わず上半身裸体の女性に近づいた男性は、女性たちの下半身を見てギョッとする。
女性の下半身は女体が馬の胴体のように繋がった、ケンタウルスのような姿をしていた。
よく見ると、月明かりの中。他にも『女体ケンタウルス』の女性たちが、裸身を月光に晒している。
幻想的で奇怪な光景に悲鳴を発する男性。
「うわぁぁぁぁッ!?」
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