ヒトデ側裸族人類の我美が誕生しなかった世界でB

 秋は蘭花がタコを結果的に抹殺してしまったコトに、少し責任と罪の意識を感じていた。

 蘭花と秋が小島でレズを楽しんでいると、白い翼を羽ばたかせて、銀牙が飛んできて言った。

「やっぱり、この昔の漂流マンガに出てくるような、ふざけた無人島でレズっていたか」

 蘭花を蔑んだ目で空中から見下ろしている銀牙は、怒りに震える声で蘭花に質問する。

「なぜ、タコ神さまを殺した……なぜ、オレたちの神であるタコを全滅させた! タコ神二号さまが提案した、レズでもいいからタコ側裸族人類を繁殖させるための『人工受精繁殖』さえも拒否した!」

 惚けた表情で答える蘭花。
「あたし、男なんかに興味ないから……銀牙との子作りなんて、どうでも良くなったから……もう、放っておいてよ」

 銀牙は元パートナーだった女の言葉を聞いて、プイッと横を向く。

「もうオレたち終わりだな……タコ神さまのいなくなった星には、オレは居られない……あばよ、もう二度と蘭花と会うコトは無いだろうけれどな」

 そう言い放って、銀牙は蘭花の元から、飛び去って行ってしまった。

 秋は自分の策略とはいえ、少し後味が悪い結末に心を痛める。

 その時……空から真っ赤に燃えた無数の小惑星群が、海洋に向かって落ちてくるのが見えた。

「何あれ?」
 立ち上がった秋の小島の近い海域にも、摩擦熱で焼けた小惑星が落下してきて海がグツグツと煮える。

 それは、まるで巨大な海洋鍋のようだった。その日のうちに、海洋生物の半数が死滅した。

 特にイカとクラゲとウニとヒトデへの被害は甚大だった。
夜になっても煮えている海を呆然と眺めている、秋の元にイカ側裸族人類の紫音たちがやって来て言った。

「この星のイカ神とクラゲ神は死んだ……まさか、こんなコトになるなんて。イカ型宇宙のイカ神さまからは星からの撤退指示がイカ側裸族人類に出た……クラゲの裸族人類はどうする?」
「あたしの方にも、クラゲ神さまから退避の指示は届いている……淡水に生息していて被害を免れたクラゲを救助してから、撤退する指示を受けている」

 秋は、これは蘭花にタコ神殺しをさせてしまった、報いを受けたのだと内心思った。

「そうか、ウニ子もドクター・エロが待っているウニ星に帰ったみたいだからな……神の死んだ星にオレたち裸族人類は未練はない、オレは妖女とか裸女で一緒に来たい奴らは、イカ神さまに頼んでイカ宇宙船で新天地の星へ連れていくつもりだ……以下略」

「イカは優しいんだな……あたしもクラゲ神さまに頼んで裸女たちの移住に協力してもらおう、蘭花はこれからどうする?」

 レズになった蘭花は、秋の腕にしがみつく。
「秋さんと、一緒ならどこへでも」
「決まりだな」

 こうして、裸族人類が存在する退屈で無い世界の地球から、イカ、タコ、クラゲ、ウニの裸族人類たちは去って行った。



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あきゅろす。
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