竜宮島@

 夜の大海を白波を立てて自走航行する【竜宮島】

 島にある絵にも描けない美しさの【竜宮城】の寝室で、全裸で毛布にくるまって眠っている性悪女の『乙姫』は壺の悪夢にうなされていた。

 真っ暗い中……全裸で逃げる乙姫の背後から迫ってくる、奇妙な形の壺……細い壺口で、笑ったような顔が表面に付いた壺に乙姫な夢の中で追われていた。
(ひいぃぃぃッ!)

 逃げても逃げても増えて追ってくる壺の恐怖……やがて断崖まで追い詰められた乙姫は夢の中で、近づいてくる巨大な壺に悲鳴を発しながら目覚めた。

「ひィッ!?」
 寝汗でビッショリになりながら、ベットから上体を起こす乙姫。毛布がズリ下がり乳房が露出する……基本、裸女とか裸族人類は寝る時は裸体が普通だ。

 額の汗を拭う乙姫。
「また、あの壺の夢を……いったい、なんなのよ……あの変な笑い顔の壺〔つぼ〕は」

 乙姫が頭を抱えていると、日本茶のセットを乗せたキャスターワゴンを押して、我美が寝室に入ってきた。

 乙姫に、急須から湯呑みに注いだお茶を差し出しながら我美が言った。
「また、例の夢ですか……ほいっ、お茶」

 煎茶を飲んで一息つく乙姫。
「この体が記憶している恐怖……まだ、この体の秘めた能力を完全に使いこなしていない証拠ね……宇宙空間にも行ける、すごい裸女の体だっていうのに」

 乙姫の今の体は、ケン・フランによって記憶と人格が移植された裸女の肉体だ。

 我美が呟く。
「乙姫さまは、宇宙空間に行ける特殊な裸女だと言っても……ボクら裸族人類みたいに、宇宙空間でセックスしたり、オナニーしたりは試さない方がいいですよ……内臓が外に出て死んじゃいますから」

「んなコトわかっているわよ! 誰が宇宙空間でオナるか!」
「だったら、いいですけれどね……一回、地上で宇宙仕様バージョン試してみます? まだ一回も宇宙に出たコトないんでしょう……いざ、宇宙空間に出た時にパニくらないように」
「やるの? ここで?」
「やってください」

「わかった……あたしも、この体のコトは少し知っておきたいから」
 裸でベットから床に下りた乙姫は、片手を頭上に叫ぶ。
「こいっ! 宇宙に、あたしを連れて行けるロボット!」

 天井を突き破って乙姫の前に、全長五メートルほどのロボットが飛んできた。ロボットの両足が縦に開いて、棺のような空間が出現する。

 開いた場所を覗き込んで、露骨に嫌そうな顔をする乙姫。
「本当に、このロッカーみたいな中に裸で入らないとダメ? なんか女臭の汗くさい酸味の臭いがするんだけれど……それに、マ○コ臭い

「それは、乙姫さまの体の臭いです……前の体の持ち主が、その中でオナって楽しんでいたんじゃないんですか? 自分の体臭には慣れないと……さっさと入れ」

「そう言われても……この体の能力の一つに、乗り物に変形するロボット犬みたいなのも、いるわよね……あのロボット犬が現れると、やたらと身体能力が上がって素手で岩を砕いたりできるんだけど……ただ、あのロボット犬の、あたしの股間を見る目が完全に『バター犬』で……隙があれば、あたしと交尾しようと狙っている気がする」

「前の体の持ち主が、エロいバター犬に仕込んだんでしょうね……そんなコトより、早くロボットの中に入れ」
 乙姫が渋々、ロボットの足の間に入ると、入り口が閉まり……イバラのようなモノが、乙姫の首から下に絡みついてきた。

(おわぁぁぁッ!? ぐえぇぇぇッ!?)
 爪先から膝……太股から、下腹部……腹、胸、乳房、指先へとイバラは乙姫を緊縛するようにグイグイと締めつける。
(おッ、おッ、おぉぉッ)

 まるでSM緊縛でもされているように、股間の溝からヒップの谷間に喰い込むイバラ……腰や乳房もヒョウタンのように、くびれた形に縛られる。

 やがて、首から下が緊縛された乙姫が、ロボットの中から吐き出された。

 トゲが肉体に喰い込んでいる、痛々しい姿を見て我美が言った。
「着衣人類だったら、血まみれですね……どんな感じです?」
「ただ緊縛されて痛いだけじゃ!! こんなんで、本当に宇宙に出ても大丈夫なの?」

「内臓が外に飛び出るのを、そのイバラが押さえつけているんじゃないんですか……たぶん」
「確実じゃないのかよ! これじゃあ、単なる緊縛好きな変態女じゃない!」


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