我美の策略……蘭花のオナニーショック@
遥かな未来……タコ型宇宙船の工作室で、軍医タコは開発したばかりの『特殊波長銃』を眺めていた。
「偶然の発明品ですが……この銃は裸族人類には必要ありませんね、廃棄処分にしましょう」
軍医タコが、そんなコトを考えていると。部屋にいきなりヒトデ側裸族人類の我美が現れた。
軍医タコは、さほど驚いた様子もなく、我美に話しかける。
「数多くある、平列世界の一つの過去から来た我美さんですか……よく、分岐した世界に辿りつきましたね」
「さすが、タコ……よく、ボクが平行世界の過去から来たってわかったね」
「この時間軸世界の我美さんは、逆日焼けバージョン……水着で白く抜けている部分が日焼けしていますから」
「そっか……こっちの世界にもボクが存在していたか……ちなみに、タコがどこまで分岐した平列世界を知っている?」
「分岐という表現は正しくありませんね……そこに住む者には正しい歴史の本流世界ですから……わたしが知っている平列世界は、@人類がエデンの園で禁断の果実を口にした世界、A蘭花がレズ化して銀牙との子作りを放棄して、神が滅び……着衣人類が家畜化されて。裸族人類姉妹『ターンエー』と『裸族エース』が支配している世界、B乙姫が裸女と裸族人類を支配して、ゾンビウィルスが裸女と裸族人類に蔓延したゾンビワールドの世界……それと」
軍医タコは丸窓から、海が蒸発して赤い乾いた地球を見た。
「海が蒸発して海洋生物が死に絶えた、この世界の四つです」
「ふ〜ん、ずいぶん知っているんだ。平列世界の別軍医タコとは連絡を取り合っているの?」
「時々……我美さんがココに来るのは最初からわかっていました……その目的も」
「それなら話しは早い」
我美の腰に変身ベルトが現れる、山の手線のようなマークが入ったベルトだ。
「変身」
いきなり、空間から『時間を往来できる電車』の先頭車両が現れて突進してきた電車は、椅子に座っていた軍医タコを撥ね飛ばして停止した。
撥ね飛ばされた軍医タコの体は壁に後頭部を強打して、グヂャといった感じで床に転がった。
激突した壁にタコの血痕が残った……軍医タコは即死だった。
我美が言った。
「不幸な電車事故ですねぇ……運が悪かったですねぇ、これは時を駆ける列車の衝突事故ですねぇ」
我美は軍医タコが衝突前に持っていた、パラボラアンテナ型の銃口が付いた『裸族人類催眠誘導銃』を床から拾い上げる。
「ボクは乙姫がゾンビワールドを作った世界から来た我美だよ……もっとも、ボクがいた時間世界では、その計画はまだ発動させていないけれどね……この世界の過去で、ちょっとした実験をさせてもらうよ」
我美は丸窓から火星のような赤い地表の地球を見る。
「記録には残っていないけれど空白の歴史に、着衣人類同士の大戦でもあったのかな? まっ、別にいいけれど……ボクが必要なのは、この廃棄される前の『裸族人類催眠誘導銃』と、軍医タコの死骸だけだから……あれ? 車両が衝突した衝撃で触手が一本千切れて無くなっている? まっ、いいか」
我美は軍医タコの遺体を電車に乗せると、時間を飛び越えて去っていった。
我美がいなくなると、棚の隙間から千切れた触手がモゾモゾと這い出てきて。
細胞再生して一本の触手から軍医タコが復活した。
再生した軍医タコが壁に残る血痕を見て呟く。
「数分前の、わたしの死骸を持ち去りましたか……それでいい、この世界の歴史通りに『Gインパクト』を発生させるには。わたしの死骸が必要ですから」
軍医タコが取り出したタブレットの画面操作すると、床から人間が入るくらいの大きさの円筒形カプセルが二つ、せり上がってきた。
カプセルの中には、全裸で股間を手で押さえ隠し。両目を閉じて立った格好で凍結保存された、蘭花と銀牙が入っていた。
軍医タコが凍結保存されている蘭花に言った。
「今、我美が蘭花が一番悲しい思いをした『Gインパクト』発生の時間帯に向かいました……これは歴史の必然です、辛いでしょうが耐えてください」
軍医タコは海が死んだ地球に再び目を向ける。
「あの星に海と緑がもどり、生命に溢れたエデンの星に再生したら……蘭花と銀牙を解凍して、次の最初の人類。アダムとイヴに二人をしてあげますからね……今度は最初から裸族人類の人類歴史でスタートです。現在、苔類が地表に増えて大気を調整して。雨も降り、淡水海もできて……環境も火星並みに変わってきました。別の惑星から持ってきた生物も少し放しましたから。環境が整うまでの時間はたっぷりあります……エデンの園が完成するまで、眠りなさい」
蘭花と銀牙が入ったカプセルは、再び床の下へと収納された。
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