赤いゴキブリ星【完結】
性戦が終了して、あちらこちらで残り火のような男女の喘ぐ戦場で。
百人交尾を果たしたショジョが満足した顔で軍医タコたちがいる、勝利旗が立てられた丘に仲間を連れてもどってきた。
「タコ君ただいまぁ、エッチ楽しかったです……いっぱい人間の精液を注いでもらって、いっぱい卵鞘〔らんしょう〕生んじゃいました」
「それは良かったですね……元気な子供たちが生まれるといいですね」
「はい、一つの卵鞘〔らんしょう〕に約ニ十人から三十人は入っていますから……あたしの生んだ卵鞘だけで、軽く百人は越えると思います……あれ? タコ君、最初にこの星に着陸した別地球人の宇宙船一機が逃げていきますよ」
ショジョが指差した先には、裸艦長が指揮する武装宇宙船が離陸していくのが見えた。
「このまま逃がしちゃうんですか? 撃墜とかは?」
「放っておきましょう……どうせ、別地球に帰って性戦の様子を伝えても、誰も本気にはしませんよ。エロ戦で敗北したなんて」
「ですよね」
その時……地面を転がってやって来たドクター・エロが、注射剤液が入った小ビンを軍医タコに手渡して言った。
「ほらよ、頼まれていた未知の抗体から作ったワクチンだ……エデン・シンドロームのワクチンか、どうかはわからないがな」
「感謝します、エロ」
軍医タコの近くにいた蘭花が、軍医タコに質問する。
「あのぅ、タコ神二号さま……エデン・シンドロームって発症原因が不明だったんじゃ? ウィルス感染だったんですか? それにワクチンって予防の為に使うんじゃ? 発症した後に使用しても効果ないんじゃ」
「原因がわからないから、いろいろと試してみるんです……そのうち、どれかは効果があるかも知れませんから……響子だったら、岩塩を薬だと信じ込ませてナメさせれば、どんな病気にだって効きますよ……病は気からです」
軍医タコの言葉に、その場に居た誰かから。「かなり、いい加減」と、いう呟き声が聞こえた。
【赤いゴキブリ星】完結
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