混戦模様の赤いエロ大地B

 赤い遊星に押し寄せてきた大船団を背後に、全裸で腕組みをした艦長は高らかに笑う。

「わははははっ、どうだ恐れ入ったか! 人類をナメるなゴキブリども!」

 フルチンを揺らしながら笑っている艦長の姿は……かなりマヌケだ。

「おまえたち、ゴキブリどもを一匹残らず焼き尽くして、大地の塵に変えてやる!! 汚物は消毒だぁぁぁ!! 虫ケラども、この大援軍を相手にどう立ち向かうつもりだ……わっははは、我らに勝利ありぃぃぃ!!」

 援軍として呼び寄せられた人類の宇宙船団が、軍医タコの巧妙な策略だということを、すっかり忘れている艦長だった。

「おまえたちゴキブリが、惑星の支配者になるなんざ三億四千万年早い……んっ、なんだ? アレは?」

 艦長はゴキブリ人類たちが群がっている丘の側の上空に、数十台の空飛ぶリヤカーを引く銀色のロボットたちと。

 その荷台にスシ詰め状態で乗っている、同型の銀色ロボット集団を見た……『プロトタイプ源サン』と、その愉快な仲間たちだった。



「なんだぁ!? あのブリキのロボットは?」

 ロボットが乗ったリヤカーを目で追っていくと、リヤカーは丘の上にいる軍医タコの近くに着陸した。


 軍医タコの近くに次々と、滑空着陸してくるリヤカー群。

 胸に番号が書かれた『源サンシリーズ』の先頭リヤカーを引いていた、オリジナル源サンが言った。

《待たせたな、タコの旦那……言われた通り、援軍協力してくれそうな連中に声をかけて、集めたぜ……援軍は【地球人強制進化プロジェクト推進委員会】三柱の家畜宇宙船が連れてきてくれる。とりあえず、先にオレっちの源ロボたちを連れてきた。配給の塩むすび作ったり、ケガ人を担架に乗せて運んだりと……ちったぁ役に立つだろう》

「感謝します、源サン」
 源サンの背後に隠れていたメカペニスの『チンチン君〔金剛〕』が元気良く現れて旋回する。



《チンチン君でぇい!! じゃじゃじゃ〜ん》

「チンチン君も来てくれましたか、ご苦労さまです……いよいよ、性戦も面白くなってきました」

 軍医タコが見ている先には、人類側宇宙船団の上空から、雲を抜けてゆっくりと下降してくる人類宇宙船の二倍の大きさがある、クラゲ型とイカ型の母船宇宙船を見た。

 さらには、ゴキブリ人類と別地球人類が対峙している中間地点の上空に、ウシ型宇宙船、ブタ型宇宙船、ニワトリ型宇宙船が出現した。

 軍医タコの目前の空間に○型と△型と☆型の、空間通信ディスプレイが開く。

 丸型ディスプレイの中から、軍医クラゲが言った。
《別地球人類の武装宇宙船の方は、クラゲとイカの宇宙船に任せるにょ》

 三角形ディスプレイの中に投射されている、サングラスをかけた軍医イカがクラゲに続いて言った。
《野戦病院の方も我々、軍医に任せるであります……ウニのドクター・エロも……以下略》

 狭い星形のディスプレイの中に現れた、ウニ型宇宙人のドクター・エロと、ケン・フラン教授が押し合うように出てきた。

 目つきが悪いドクター・エロが言った。
《こらぁ、イカ! オレを省略するな! タコ、オレも協力してやる……ケン・フランも連れきたぞ》

 子供の姿で白衣を着たケン・フランが笑う。
《あははっ、ボクたちも野戦病院で、敵味方に関係なく治療するから……エロ近づくな……トゲが顔に刺さって痛い》

「頼もしいみなさんです……エロ、ちょっと個別にお願いがあります……プライベート回線の方で」

《おうっ、じゃあ別回線を開くぞ》

 小さな星形が現れ、軍医タコは小声で何やらドクター・エロと会話した。


[前戯へ][後戯へ]

20/70ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!