性なる戦い…人それを『性戦』と呼ぶB

 しばらくして一笑する艦長。
「人類がゴキブリと、セックスするワケがないだろう」

「性欲を刺激して、セックスしたくなるように仕向けます……あなた方は、わたしが仕掛けた、ゴキブリ捕獲の罠にハマったようなものです……もがけば、もがくほどベトベトの粘着液が絡んできて身動きがとれなくなります。わたしたちの裸族人類や裸女の中にも武闘派の者もいますが、それはあなたがたの武装戦力を削ぐために使います……あくまでも、性器と性器の戦い。エッチで平和的に勝敗を決めますから」

「セックスで戦争するなんて、前代未聞だ」

「あなたの世界ではね……それでは、また近いうちに荒野の性戦場で」

『どこでもホール』を開いて、姿を見せたハラミと一緒に去って行こうとする軍医タコを、艦長は呼び止めた。

「ちょっと待ってくれ。どうしても、その女忍者に、一言だけ言っておきたいコトがある」

「なんですか?」

 艦長はハラミを指差して言った。
「服を着ろ!!  風邪をひくぞ!!」



 裸のハラミは、艦長の言葉にキョトンとした顔で。
「ニンニン?」と、答えた。


 明朝、白みはじめた空……数千匹……もとい、数千人のゴキブリ人類を従えた、軍医タコは宇宙船を眺める丘にやってきた。

 軍医タコと一緒にいるのは、タコ側裸族人類の蘭花と銀牙・イカ側裸族人類の紫音・クラゲ側裸族人類の秋・ウニ側裸族人類のウニ子・そして、カニとエビのハイブリッド裸族人類の美久だ。

 裸女&裸男は、女桃太郎・裸ネコ・男かぐや姫・のっぺらぼう・魔神ガー・ロボット裸女エス。

 悪魔の黒夜美と、意識を失ったままの隊長タコは、小型タコ型宇宙船に残っている。

 宇宙船の前方には、一夜で簡易バリケードと塹壕〔ざんごう・戦場で、そこに隠れて敵の攻撃から身を守るために掘る溝〕が築かれ。船体からは砲台のようなモノが覗いていた。

 さらには、宇宙船の近くには、五メートルを越える巨大な殺虫スプレーまで置かれ。その前に腕を組んだ艦長とライフル光線銃を持った数名の男女がいる。

 武装した宇宙船を見て軍医タコが呟く。
「『禁断の果実』を完食した人類……あくまでも武力で交戦するつもりですか。気持ちいいセックス戦での妥協案を提示したのに……いいでしょう、最初に兵器を取り除いて戦力ダウンさせてから……性戦で犯します

 頭に羽飾りを付けた軍医タコが触手を天に向けて、背後の者たちに指示を出す。

「ショージ……ショジョ、性戦士百名ほどに男は勃起させ、女は濡れるように戦闘準備の伝達を……裸族人類と戦闘能力が高い裸女は、敵武装戦力の排除を……遊星に朝日が昇ったら、性の開戦です」と、言った。


 別地球人類側では、艦長と副官の女性が会話していた。
「艦長、本当にゴキブリが強姦目的で襲ってくるんですか?」
「侵入してきたタコは、そう言っていたな」

 不安そうな表情の副官女性は、取り出したボールペンの先を首筋に押し当てて注射でもしているような仕草をした。

「何やっているんだ?」
「いやぁ、こうやったら肉体が変化しないかなぁ……と、思って」

「変化しないから、オレたちそんな特別な手術受けていないから……オオスズメバチとかモンハナシャコとか大型のカニに変身しないから」

「アシダカグモとか、エメラルドセナガアナバチとか、バクダンオオアリとかにも?」
「ならねぇよ!」

 そうこうしている間に、赤い遊星の大地に朝日が昇り……淫らでエッチな開戦を告げる角笛が鳴り響いた。

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あきゅろす。
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