性なる戦い…人それを『性戦』と呼ぶA

 渡された白旗を振りながら隊長タコが言った。
「なんだかわからないが、コレを振りながら歩いて行けばいいんだな」

 岩陰から白旗を振りながら出てきた、オレンジ色のタコ型宇宙人が……「Go,to,Hell!!〔地獄に堕ちろ!!〕」と、叫びながら触手を立てて。見るもおぞましいヌトヌト歩きで宇宙船に向かって進む。

 直後……隊長タコの眉間を光線が貫き。
「ぐふッ!?」と白目を剥いて倒れた隊長タコを、白い天使の翼を背中から出した銀牙が天から降りてきて岩陰に回収した。

 額を射抜かれた隊長タコを見て、軍医タコが冷静な口調で言った。

「やっぱり撃たれましたか……蘭花、この大岩を地面から引き抜いて。宇宙船との中間地点に投げてください、こちらが撃たれないように壁を作りなさい」

「はい、タコ神二号さま……よっと!」
 裸族人類の蘭花は、地面に半分以上埋まっていた、大岩を引き抜いて頭上に持ち上げると、そのまま宇宙船と軍医タコの中間位置に放り投げた。

 地響きと土煙をあげて、大岩が地面に突き刺さる……ショジョは軍医タコの一連の行動に首を傾げる。 

 軍医タコが言った。
「ファーストコンタクトは終わりました、一旦洞窟に帰りましょう……『性戦』に備えて栄養をつけるのも、作戦ですから」


 その夜……軍医タコは、別地球人類の宇宙船の艦長室に忍び込んでいた。

 椅子に座った宇宙船の艦長は、脂汗を垂らしながら、タコ型宇宙人を目の前に動くことができなかった。

 軍医タコが言った。
「騒がないでください……騒ぐと背後に立っている『変態忍者・ハラミ』の刃が、あなたの首筋を狙っていますから」

 艦長の背後から不可視忍法で姿を消した、ハラミの「ニンニン」という声が聞こえてきた。

 軍医タコが続けて喋る。
「少々アンフェアな方法でしたが『どこでもホール』を使って、船内に侵入しました……この先は、ホールは使わないので安心してください……昼間は大岩を投げつけて失礼しました」

「いったい、おまえたちは何なんだ……あの裸の女は、なんだ?」

「エッチ大好きな裸族人類です……エデンの園で『禁断〔知恵〕の果実』を完食して武器進化の道を選択した。あなた方のいた地球には存在しません……驚いたでしょう、裸の女が大岩を投げつけてきて、他にも我々の世界には裸女という裸の女たちもいます」

「裸族人類? 裸女?」

「わたしたちの姿を見て驚いた、あなた方は別地球に援軍要請の亜空間通信をしましたね……赤い星に出現したタコのような生物に本能的な恐怖を覚え、白い翼の男天使、それと若い裸の怪力女……その通信以後の、別地球への通信はジャミング〔妨害電波〕で不通になったでしょう」

 軍医タコの言葉に訝る艦長。
「どうして、それを知っている? おまえ何をした?」

 軍医タコは腰に触手を当てると、科学者特有のセリフで。
「説明しよう……こんなコトもあろうかと」と、言って説明をはじめた。

「あらかじめ、小惑星に偽装した人工衛星を配置して70年代の裸女姉妹『宇宙鉄女・シーマイン』に通信を傍受してもらい、援軍要請以外の通信妨害をしてもらっています……ちなみに、シーマインは『姉妹拳』という拳法の使い手で、オートバイに変形した『電女サ・ポーター』に股がった妹の『グライドル』をバイクと一緒に姉の『スカイドル』が肩に担いで、バイクの口から、姉妹の『シューティング!』の掛け声で、カノン波動光線をぶっぱなすという大技を……」

「そんな意味不明の長い説明いらないから、要するに我々の通信妨害をしているのは、おまえなんだな」

「簡単に言うとその通りです……一応、あなた方の船の記録媒体も破壊しておきましたから」

 艦長は壁の隙間に立って、薄笑いを浮かべている『裸赤ずきん』と、猟銃の銃口を向けている『裸猟師』に気づき、冷や汗が流れた。

「いったい何を企んでいるんだタコ!」

「別地球人の性戦人数を調整しようと思いましてね……ゴキブリ人類と同じくらいの人数にしないと、性戯の戦いができないでしょう……人類とゴキブリは、これからエッチして新しい歴史を刻むんですよ」

 艦長は、軍医タコの想像を絶する言葉に「なに?」と、絶句した。

[前戯へ][後戯へ]

13/70ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!