エデン・シンドロームB〔女性型ゴキブリ人類〕登場

 エスが質問を続ける。
「エデン・シンドロームの症状には、どんなモノが?」

「まず、見ての通り羞恥で裸になるのを極端に嫌がるようになります……症状が悪化すると入浴やセックスの時も、着衣や水着で済まそうとします性行為も下着や水着の股間に穴を開けて、その穴でセックスします……最後にこれが一番の特徴ですが、股間を葉っぱで隠そうとします特にイチジクの葉っぱで好んで隠します……針葉樹や広葉樹の葉っぱも使います、紅葉の季節にはモミジとか、七夕が近づくと笹の葉とか、端午の節句にはカシワの葉っぱで股間を包んだり、春先の花見の時期には塩漬けした桜の葉っぱや、特別に桜や菜の花で隠すこともあるみたいです……松葉は性器の溝に挟まるだけで、隠すのには適しません……夏になると二枚貝で隠したりもします」

「男性が発症した場合も、葉っぱで股間を隠すのですか?」

「男性の場合はペニスカップで隠します……サイとか牛の角とか、象のキバ、巻き貝を使う時もあるそうです……貝の中でペニスが捻れそうですけれど、ペットボトルの飲み口にペニスを入れて、ペニスカップの代用にするのはやめた方がいいですよ……勃起して抜けなくなります」

 蘭花が遠慮気味に軍医タコに質問する。

「話しを聞いていたら、着衣人類がエデン・シンドロームになっても、裸になるのを嫌がる部分は特に問題が無いような気も……このまま、放置しておいてもいいような」

「それはダメです、万が一にも響子から着衣人類にエデン・シンドロームが広がれば、着衣人類から裸女が自然発生しなくなります……響子のエデン・シンドロームは治療しなければ」

 軍医タコの言葉を聞いて、ガーが。
「裸女が現れなくなるのは困るずぇぇぇと!」と、言った。

 その時、タコ型宇宙船が大きく揺れて何かが衝突してきたような衝撃音と、船体壁を突き破ってドリルの先端が現れた。

「今度はなんですの?」

 破損した壁の隙間を内壁から染み出てきた、ジェル状の物質が塞いで補修する。

 突き刺さったドリルを見て、落ち着いた表情の軍医タコが言った。

「思っていたよりも早く到着しましたね……誘導信号は正確に届いていたようですね、出てきてください。タコ船には誰も、あなた方に危害を加える人はいませんよ」

 軍医タコの言葉に応えるように、ドリルの先端がパカッと折れ開き、中から変わった風貌の少女が現れた。

「はじめましてみなさん、不潔の国からこんにちはです……ゴキッ」



 少女を一目見た蘭花の呟きが聞こえた。
「ゴキブリ人類?」

 いきなり現れたゴキブリ少女は、触覚を動かしながらドリルから出ると、そこに居る者たちを見回してから軍医タコに近づいて一礼した。

「あなたが救援要請通信を受信して、この宇宙船に導いてくれたタコ君ですね……感謝します、お願いです。あたしたちゴキブリ人類の星を残虐な人類の侵略から守ってください」

 軍医タコを除く一同がキョトンとしていると、軍医タコが了解したという仕種をした。

「SOSを受信した時から、そのつもりですよ……意外と早い到着でしたね」

「タコ君に教えてもらった『一か八か亜空間ワープ』をやってみたんです、成功してよかったです」



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あきゅろす。
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