【性休日】の裸パーティーC〔異変は突然やってきた〕

 エスとガーのやりとりを、少し離れた場所で立食しながら傍観していた『長靴をはいた裸猫』が、隣に立つ『女桃太郎』に言った。

『女桃太郎』の近くには十二単を着た弟の『男かぐや姫』もいる。

「にゃにゃ、70年代裸女とアニロボ裸女の、あの二人はいつも仲がいいにゃ」

「喧嘩するほど仲がいいって、言うからな……オレたち、昔話や童話の童女は人数の変動が少くないから。あんな風に言い合う場面はない」

 二人がそんな会話をしていると、粘液触手をヌチュヌチュと蠢かせて這ってきた軍医タコが言った。

「パーティー楽しんでいますか……そちらの、十二単を着た【男の娘】〔おとこのこ〕は初顔ですね……紹介していただけませんか」

 女桃太郎が桃に形が似た、中華菓子を食べながら弟の『男かぐや姫』を軍医タコに近づけた。

「オレの弟の、竹から生まれた裸男の『男かぐや姫』だ……かぐや、軍医タコさんに自己紹介しろ。これから、世話になるコトもあるだろうからな」
「はい、姉上」

 軍医タコの方に背を向けた、『男かぐや姫』は、スルッと十二単を脱いで裸になると……そのまま、腰に手を当てて振り向いたポーズから続く、ピストルを撃つようなアクションで。

「月に代わって拷問だよ」

 と、言った。その言葉を聞いたパーティー会場の中で「おぉぉぉ!」と、いう歓声があがる。

 軍医タコも触手でペタペタと拍手する。
「将来が楽しみな裸男の弟さんですね……おっと、何やら亜空間通信が?」

 軍医タコは、取り出したタブレットの画面をタッチ操作する。受信した通信を見た軍医タコは難しい顔で唸る。

「ふむっ……これは? みなさん少し場を失礼します……パーティーを楽しんでください」
 そう言い残して軍医タコは部屋から出て行った。

 軍医タコがいなくなると、弄び女を連続絶頂させて、遊び飽きた酔っぱらい隊長タコがグヂュグヂュ這いずりながら。イカ、クラゲ、ウニの裸族人類に言った。

「お──い、おまえたち。もうすぐ自動調理された、イカリングと、クラゲの酢の物と、ウニの軍艦寿司を響子が運んでくるから……遠慮なく喰え、喰え、わっははは」

 イカとクラゲとウニの裸族人類は隊長タコに向かって。
「喧嘩売ってんのか!!」
 と、言った。

 ほどなくして料理を乗せたサービスワゴンを押した、響子が部屋に入ってきた……もちろん、裸パーティーなので響子も裸だ。

「隊長タコさんが自動調理機に注文した。イカリングと、クラゲの酢の物と、ウニの軍艦寿司……持ってきました」

 響子がテーブルの上に料理を置いている間も、裸族人類たちや裸女たちは談話していた。

 突然、皿が床に落ちる音が聞こえ、裸の女たちが音の聞こえた方に視線を向ける。

 そこにはイカリングと、クラゲの酢の物と、ウニの軍艦寿司の皿を床に落として震えている響子の姿があった。

 震える響子の視線は落ちて床に散らばった料理ではなく……裸族人類や裸女たちに向けられていた。

 怯えた表情で響子が呟く。
「どうして……みなさん、裸なんですか……恥ずかしくないんですか……あ、あたしも裸? いやあぁぁぁぁぁ!!!」

 いきなり、響子は胸を隠すように押さえると、その場にしゃがみ込んでブルブルと震えはじめる。

「あたし、裸……恥ずかしい、恥ずかしい」

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