【妖怪渓谷】A

 紫音が言った。
「妖女リーダー格のおまえが、知らなきゃしかたがないな……とりあえずオレたちは、他の裸族人類がキ○タマを持って集まるのを待つか……他人が見つけて集まった玉を総取りだ……のっぺらぼう、おまえにも一つくらい玉を分けてやるからな、今から願いを考えておけ」

「きゃははは……あたしの願いは、もう決まっています」
「ほうっ、どんな願いだ」
「毎日、フェラチオやり放題」

「……それ、願うほどの望みか? 今でも、フェラやりまくっているじゃないか?」

「きゃははは……じゃあ、世界中の男たちのチ○ポをバナナの房みたいに、たくさん生えさせて。やり放題……裸族人類も裸男も着衣人類も関係なく」

「その願い、絶対やめろよ……バナナ房のチ○ポなんてシャレにもならないからな」

「そうですかぁ……じゃあ、とりあえず願いを思いつくまで……紫音さまのチ○ポをフェラチオでもしましょうか」

 そう言って、紫音の前に膝立ちした、のっぺらぼうは「うぐっ、うぐっ」と、人目も気にせずに堂々と往来でフェラチオをはじめた。のっぺらぼうがフェラチオをしている上空を、三角翼飛行生物と合体した秋が飛んでいった。

 タコ側の面々も小一時間後……『妖怪渓谷』に到着した。

 軍医が言った。
「いろいろな妖怪裸女や裸男がいて、賑わっていますね」

 広げた和傘の下に裸体が見える『化け傘裸女』がケラケラ笑いながら跳ねている近くには、土壁に背中側を埋め込まれた『塗り壁女』や、赤ん坊用の赤い腹前掛けをした『子泣き男〔青年〕』がいた。

「ここからは別々に行動しましょう……蘭花と銀牙。響子と尻目。わたしと隊長と美久の組み合わせでキ○タマを探しましょう」

 軍医タコの提案で、グループごとに別れて渓谷に散った。
 尻目と組んだ制服姿の響子は、物珍しそうに市場で売られている物品を見て回る。

「変わったモノが、いっぱい売られていますね……あそこの屋台で売られている食べ物なんですか?」
黒ヤモリの姿焼きです……食べてみますか? おいしいですよ」

「ひぇぇ……け、結構です」
「では、目玉スープとかは? 目玉の親○の塊が入ったコラーゲンたっぷりの栄養スープです……妖女の好物です」

「うげっ……なんか着衣人類のあたしには、インパクトありすぎですね」

「あっ、ミミズそばの店が、ありました! あれは『妖怪渓谷』に来たからには名物料理ですから、一度は食べていかないと。おごりますから食べましょうよ」

「ぎゃあぁ!! 遠慮しておきます!!」
「お蕎麦がダメなら、太いミミズを使ったウドンもありますよ、釜湯で白くなったミミズに生卵を絡めて食べるのがまた絶品で」

 響子は両耳を押さえると首を横に振った。
「聞きたくない! 想像したくない! もっと、普通の食べ物を!」

「そうですか、それならあそこにある。猫耳カフェでお茶でも……カフェなら着衣人類が食べられるモノを置いてあるはずですから……たぶん」

 響子と尻目はカフェへと向かった、オープンカフェの席に座って、猫耳猫尻尾の裸娘が持ってきたメニューを見るなり尻目が言った。

「丸ごとナメクジがクリームに入ったスポンジケーキのナメクジショートケーキはメニューにないんですね……ゴキブリ焙煎コーヒーもない……普通の着衣人類の食べ物ばかりで、残念」

「ここは普通の食べ物を食べましょうよ、お願いだから」

 運ばれてきた普通のケーキセットを食べていると、響子の近くの席に一人で座っていた童顔の裸男が話しかけてきた。

「やっぱりそうだ、どこかで見た着衣人類の、お姉さんだと思っていた……元気そうだね、お姉さん」

 響子は、小柄な童顔裸男を見る……見覚えがない顔だった。

「えーと、どこかで会ったっけ?」
「やっぱり、この姿だとわからないか……ちょっと待っていて」

 童顔裸男は椅子から立ち上がると、天に向かって片手を上げて言った。

「冥界神アヌビスの名において命じる、飛んでこい! 一反もめん!」



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