【実験群島の人間島はこうして誕生しました】B

 脱出の糸口が見えないまま数日が経過した、ある日……船員たちの精神状態も、島に閉じ込められたストレスから限界に達していたころ。

 艦長は宇宙船近くのテントを張った居住地域で、背を向けて何かを食べている副官女性の姿を発見した。

「副官、何を一人で食べている……見つけた食べ物は平等に、全員に分けると決めたはずだ」

 振り返った口元には、赤い果汁が血のように滴っていた……副官の女性は、今まで見たことがない果実を食べていた。

 果実の形はヒョウタンのように真ん中がクビレ、女性の乳房のような二つの膨らみと、裏側にはお尻の割れ目があった。女体果実の腹部はアケビか女陰のように縦に割れていて、そこから赤い果肉が覗いている。

「なんだその果実は? まさか『理性を失う果物』を食べたのか!!」

 副官の女性の薄笑いが聞こえてきた。
「うふふふ……艦長もどうですかぁ……甘くて美味しいですよぅ、たくさん採ってきました……これ食べると、頭の中が真っ白になって……嫌なこと、ぜーんぶ忘れられますよぅ」

「食べるのをやめろ副官! 吐き出せ!」

 副官女性の目から次第に、理性の輝きが失われていく。
「どうしてですかぁ……あ、なんか服着ているのが、どうでもよくなってきた……セックスしたい……男とやりたい、男、男、男!!」

 衣服を脱ぎ去り、全裸になった副官女性はケダモノのように近くの船員に襲いかかった。

 騎乗されて恐怖に怯えている男性の口を強引に唇で奪い。食べていた果実の欠片を男性の口に舌で押し込み副官女性が言った。

「ねぇ、セックスしよう……誰でもいいから交尾しよう……みんなで、理性なんか捨ててさ……おとこ、おとこ、おとこ……あはぁあはぁあはぁ」

 女性騎乗位で犯されている男性の目からも理性が消えて、性本能のままに衣服を脱ぎ捨てると狂ったケダモノのように、副官女性を抱く。

 艦長が気がつくと、あちらこちらで果実を食べて、理性を捨てた全裸男女の乱交がはじまっていた。

 騒然となった居住地域で怒鳴る艦長。
「正気にもどれ! おまえたちは人間だ! 理性を失ったケダモノじゃない……や、やめろ! 何をするオレは裸のケダモノになる気は……うぷッ!?」

 艦長は数分前まで理性ある人間だった男女のケダモノに、地面に押し倒され衣服を剥ぎ取られ、口に果実を押し込められた。

 艦長の目から人間の理性が消える。
「メス……女、女、女、オンナァァァァ!!」

 一匹のオス化した着衣人類の艦長は、オス臭が漂う硬い肉の野獣棒を。フェロモンが満ちたメスの魅力的な穴に挿入すると、繁殖本能に従って腰を振った。

 ケダモノの交尾繁殖場と化した、他地球人の居住地域を、小高い丘の上から見下ろしていた蝶羽の裸族人類女性……AAA〔トリプルエー〕は、首を横に振って嘆く。

「裸になっただけで裸族人類に変われるわけないのに……バカな連中」

 AAAが理性を失った人間を眺めていると、後方から小学生くらいの女の子の声が聞こえてきた。

「ママぁ……覚醒して飛べるようになったよ」

 振り返るとそこには、年齢が少し離れた小学生くらいの裸族人類の女の子が二人立っていた……顔立ちが似ていて、仲良く手を繋いでいるところを見ると姉妹らしい。

 母親のAAA〔トリプルエー〕が我が子に目を細める。
「どんな羽が生えたのか、ママに見せてA〔エース〕」

 妹のAが「う〜んっ」と、力むと背中からシジミ蝶のような愛らしい羽が突出した。

 妹に続いて姉の∀〔ターンエー〕も、母親と同じようなアゲハ蝶の羽を背中から出した。


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