さらば【実験群島】B

 ケン・フランの屋敷前には。

『巨人と小人の島』から銀牙と尻目と夜美が。

『動物島』からは響子。

『ゾンビ島』からはバイクを操縦する全裸のケン・シロンと、バイクのタンデムシートにヘルメットを被って乗った軍医タコが到着していた。

 のっぺらぼう、は「きゃははは……あたし、紫音と一緒でなきゃ嫌だから」と、言い残して迎えに来た。巨大妖女『海尼〔うみあま〕』のスキンヘッド頭に乗って島を去り。

 ミリータは響子を送り届けると、そのままコウモリの翼で飛び去った。

 尻目が軍医タコに訊ねる。
「隊長さんは? そちらの顔色が悪く、胸に七つの傷が浮かんだ裸女の方は?」

「隊長は残念ながらゾンビに襲われて食べられてしまいました……彼女は北斗珍拳伝承者『ケン・シロン』……ケン・フラン教授のお姉さんで、ゾンビです……ゾンビ島で知り合い助けていただきました」

「北斗珍拳は素敵だ……フランは屋敷の中か……フランには一言言いたいコトがあって来た」

 シロンの衣服は千切れ飛んだままだ、どうやら裸女に変わってから、好きな時に衣服の再生ができるようになったらしい。

 銀牙が集まったメンバーを見て言った。
「蘭花は来ていないのか……それと美久も」

 その時、手足を引っ込めた裸体をジェット噴射で高速回転させながら、美久が地面に突っ込むように胴体着陸してきた。

 先に手足が胴体から出てきて、首なし幽霊のような格好でフラフラと立ち上がった美久の頭が、胴体からカメのように出てきた。

「ひぇぇぇ……目が回った、すみません。最初に廃墟の島で時間ロスしちゃいました」

 美久に銀牙が訊ねる。「蘭花は、美久と一緒じゃなかったのか?」

「あたしは一人で『廃棄島』に居たんです……誰か来るかと待っていたけれど、誰も来なかったから一人で島を探索してキ○タマが無いコトを確認したから熱線で合図を……その後、ここに来る途中、『触手島』で触手たちに捕まって快楽責めに合っている蘭花さんを見つけました……蘭花さんは、もうしばらく触手の快楽に身を委ねるそうです」

 軍医タコが言った。
「蘭花でなかったら、誰が『触手島』で合図を?」

 触腕を組んで考えている軍医タコの前に、一枚の紙がヒラヒラと舞い落ちてきた。

「おやっ? これは?」拾った紙を見ると、なにやら文字が書かれている。

 紙には……『創造主よ子ダネも、仕掛けもないことをお許しください……ウニ神より遣わされし合成裸族人類ウニ子、ただいま参上……黄金の素敵なキ○タマ……今宵、ちょうだいしました……神○怪盗ウニ子』と、書かれていた。

 軍医タコは太陽が出ている空を、仰ぎ見てから言った。
「どうやら、ドクター・エロの裸族人類が来ていて、黄金のキ○タマは、その裸族人類の手に渡ったようですね……まっ、しかたがない。とりあえず屋敷の中に入りましょう」

 屋敷の書斎では、頭に包帯を巻いたケン・フランが笑顔で出迎えてくれた。


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あきゅろす。
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