実験本島B〔乙姫復活〕
フランがプラグを元のコネクタに差し替えると、淫夢が消えた裸女は絶頂後も続けていたオナニーをやめた。
「良いものを見せてもらいました……あたしはこれで退室しますから、実験ガンバってください……ところで、ドクター・エロはどこにいるかわかりますか?」
「地上の屋敷で君が来るのを待っているよ……この部屋から出て行く時は、エレベーターか螺旋階段を使ってくれ、中庭に通じているから」
「いろいろと、ありがとうござうます……輝くキ○タマ大切にしますね」
そう言ってウニ子はケン・フランの研究実験室から出て行った。
子供姿のフランは、機器の出力を操作してダウンロード速度を上昇させた。
「そろそろ、データの移植が終わるな……性奴隷兼用実験動物の、マイハニーが誕生する」
石板から緑色の光りが消えると、乙姫の記憶と人格を移された裸女が目を開ける。
「んっ? ここどこ?」
目覚めた裸女は、上体を起こすと豊胸された乳房を撫で回す。
ケン・フランが言った。
「乳房は1・5倍増量しておいたよ……ボクの希望だけれど」
「ふ〜ん、ところであんた誰?」
ケン・フランは自分がマッドサイエンティストで、石板に残されていた乙姫のデータを裸女に移植して復活させた経緯を説明した。
「ふ〜ん、ホタテ貝が刺さった石板にそんな力が、まだ天に見放されてなかったみたいね……で、あたしを復活させて。どうするつもり?」
「ボクの性奴隷兼用の実験動物として、マイハニーにさまざまな実験を……」
フランの言葉が終わる前に、拳を握りしめる乙姫。
「復活させてくれて、ありがとうよっと!! ちねっ!! わっしゃあぁぁぁぁ!!」
「ぐぎゃあ!!!」
乙姫の拳がケン・フランの顔面にメリ込み、吹っ飛ばされたケン・フランの体は、古代エジプトの壁画のように壁にメリ込んだ。
ケン・フランを吹っ飛ばした拳を擦りながら、裸女の乙姫は「けっ!」と床に唾を吐いた。
「何が性奴隷兼用の実験動物だ……ふざけやがって」
手術台から降りた乙姫は、自分のデータが入っていた石板を粉々に砕くと、室内にあった姿見鏡に映った裸体を眺めた。
「これが新しいあたしの体か……まぁまぁね、どうせなら裸女じゃなくて、裸女じゃなくて裸族人類の体に移植してくれれば良かったのに……気が利かない、マッドサイエンティスト」
次に乙姫は壁に貼られていた、実験群島図の前に立つと、島の説明文を読んだ。
「ふ〜ん、ひとつだけ橋で繋がっていない島があるわね……廃墟化した保養施設や廃業したリゾートホテルやテーマパークがそのまま放置されている。今は使われていない『廃棄島』か……独自の動力システムを持っている移動可能な島でテーマパークには城もあるってか……あたしにピッタリの島じゃない、この島を頂戴するか」
乙姫は部屋にある怪しげな発明品や薬剤を見て回った。
「なかなか面白そうなモノが置いてある……これは使えるわね、ついでにもらっていくか」
そう言うと、乙姫はどこから出したのか? 唐草模様の風呂敷を床に広げ、手拭いでドロボウ被りをすると、物色した発明品を風呂敷で包んで背負う。
「へへへ……大量だぜ、失敗したらドロボウの神さまから『おしおきだべぇ』……すたこらサッサで逃げるぜ、抜き足差し足」
数歩進んだ乙姫は、ハッ!? と鏡に映った自分のドロボウ姿に我に返る。
「あたし、どうしてこんな格好を? このデータを移植された裸女の能力? いったい、この裸女なに? 何かここから脱出する乗り物みたいなのは?」
困惑している乙姫の体が、急にドリル型の乗り物に変化した。
「なんじゃこりゃ!? ちょっと待て……この裸女の能力が段々と記憶に甦ってきた……万能スーパーカーを所有に……陸海空に適応した乗り物に変化する機械の犬に……世界中を自在に飛び回れる犬とかペリカン型のメカに……科学の力で忍法? 甲虫型のタイムマシン? なんなの、この裸女の力? スゴすぎる……あっ、甲冑みたいなの着れば宇宙にも出ていけそうな気がする……あと、壺の中に出たり入ったりとか?? この体、大当たりだぁ!!」
狂喜した乙姫は、そのままドリルを回転させると部屋の床を掘って、地下室から出て行った。
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