【人間島】@ホモサピエンスは……ちょい怖い

 恐竜島内を、響子を連れて、一通り見て回った狼組長が言った。
「この島は、遺伝子操作で誕生した大型の恐竜も飼育されている……肉食恐竜は、全部草食系に改良されているから心配ないぜ……おまえたち人間の感覚だと、ライオンやトラやワニが草食動物化して、キャベツやニンジンを食べているようなモノだな……飼育員にも聞いてみたが、金色のキ○タマの心当たりは無いそうだ……もしも、キ○タマがあるとすれば『人間島』の方だな」

 狼組長は『恐竜島』に隣接している、数十階建てのビルの高さに相当する金属製の塀で囲まれた島を指差した。

 数分後……響子と狼組長は、人間島の高い塀の前に立って塀を見上げていた。

「この塀の向こう側は、群島の中でも、一番危険な島だとされているからな……誰も近づきたがらない、人間の繁殖場になっているという噂だ」

 狼組長は、響子の首から首輪と鎖を外す。

「それじゃあ、頑張って塀の中に入って黄金のキ○タマを探してきな」

「一緒に来てはくれないんですか?」

「長ドスでも持ってきていたら、一緒に入っても良かったんだがな……『人間島』の人間には注意しろよ。おっと、おまえも人間だったな……それじゃあな」

 そう言い残して、狼組長は去って行った。
 一人残された響子は、裸で途方に暮れる。

「どうやって中に入ろう」

 とりあえず、入り口を探すために塀に沿って歩きはじめた響子は、全裸で塀を見上げて思案をしている様子の、小柄な金髪女性に遭遇した。

(裸族人類だ!?)

 肩から無反動砲〔バズーカ〕を吊り下げた裸族人類……イカ側裸族人類のミリータは、響子の存在に気づくと軽く会釈して響子も、同じように会釈する。

「ごきげんよう」「ご、ごきげんよう」

 裸の女が二人……微笑み挨拶をしている、奇妙な光景だった。
 ミリータが、聞かれてもいないのに自己紹介を含ませて、響子に訊ねる。

「あたしの名前は、イカ側裸族人類の『ミリータ』……ねぇ、チ○ポがイカ臭い、イカ側裸族人類のオスで紫音って奴を見なかった? 群島のどこかに居るはずなんだけれど……チ○ポの皮がバナナみたいに剥ける変わった奴なんだけれど」

「さあ、見ていません……あたしの名前は響子です、ミリータさんはこんな所で裸で何をしていたんですか?」

 ミリータは(そう言うおまえも、裸で何をしていた)と、思ったが。そのコトは口に出さずに返答した。

「この塀の向こう側に、どうやって入ろうか考えていたの……バズーカで塀に穴を開けるか、拳で破壊するか、裸族の翼で上空から侵入するか」

「裸族人類だったら、空から侵入するのが一番だと思います」

「そっか……やっぱり、それが一番妥当な方法か。もしかして、響子もこの塀の中に入りたいの?」

「はい、入りたいです……ズッポリ入れてください。黄金のキ○タマを探しているんです」

「わかった、あたしも一人で入るのを躊躇〔ちゅうちょ〕していたから一緒に入ろう……悪魔的なウィ──ング!!」

 ミリータの背中から黒いコウモリの翼が突出する。翼を羽ばたかせたミリータは響子をつかんで空へと舞い上がった。

 塀の上まで上昇して中を見ると、円筒形の塀で囲まれた島の中心に破損した宇宙船が突き刺さり、その周辺に密林の緑が広がっていた。

 ミリータが言った。
「うちの、イカ神二号さまの話しだと……『人間島』に隔離されている人間たちは、別の地球から来た着衣人類が、人工的に裸族人類を作り出そうと仲間の着衣人類を使って実験した結果の、失敗作らしいわよ……イカ略」

「着衣人類がどうして、裸族人類を?」

「さあね、裸族人類の脅威的な能力を得ようとでもしたんじゃない……人間から理性を奪って、本能だけの人間を作れば裸族人類に進化覚醒するんじゃないかと単純に考えて……着衣人類が人工的に裸族人類を生み出すなんて百億年早い……あの広場みたいな場所に降りましょうか」

 ミリータと響子が『人間島』着陸した。コウモリの翼を閉じてミリータが言った。

「さてと、鬼が出るか蛇が出るか……それともキ○タマ出るか



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あきゅろす。
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