【恐竜島】@スピノサウルスなんて怖くない

 狼組長が響子が首に掛けている、鉄のキ○タマペンダントを眺めながら言った。

「その首に掛かっている鉄玉だけれどな……天空を移動している空中都市の泉に投げ込んでみな何か良いことあるかも知れないぜ……さてと」

 上体を起こして狼組長が言った。
「少し休んだら街を案内してやるよ……この街には、その昔、人間がテーマパークで造って放置された地区もあるからな、そこでなら何かわかるかも知れない……おまえは人間だから、裸で外を歩くんだぞ」

 狼組長の言葉に響子は、恥じらいながらうなずく。
 体力が回復した響子は、裸のまま首輪をされて狼から鎖を引っ張られホテルの外に出た。

 街の中は、衣服を着た動物たちが二足歩行していた。響子は動物たちが着衣していて、人間の自分が裸でいることに奇妙な感覚を覚えた……駅に到着した狼組長は一匹分の切符を購入する。

 着流し姿の狼組長が響子に訊ねる。
「裸で外を歩くのは恥ずかしいか?」
「はい……少し」

「この街では、着衣人類の人間は愛玩動物〔ペット〕並みの扱いじゃなきゃ連れて歩くコトはできないからな……【人間島】にいる、野生化した人間と区別するための首輪と鎖だ」
『人間島』?」

「動物島に隣接している孤島だ……実験群島の中でも一番小さい、この群島には『動物島』『巨人と小人の島』『ゾンビ島』『触手島』『実験本島』『廃棄島』の六島の他にも、小島なので島数には入っていない『人間島』と『恐竜島』がある」
「そうだったんですか」

 駅のホームで待っていると、すぐに電車がやってきた。

「これから乗車するぞ、おまえは四つ這いになれ……愛玩人間は切符を必要としないからな」

 狼組長と響子は公共交通で島と島を繋ぐブリッジを通過して、郊外にあるサファリパークのような施設前駅に到着した。

 サファリパークの入り口に立った響子は古びた看板を見上げる、そこには、恐竜の骨格がデザインされた看板に、かすれた文字で『ジュラ○ック・パー○』と、書かれているのが読み取れた。

「この看板……どっかで見たような」
「細かいコトは気にするな、ションベンしたくないか?」

オシッコですか……少し」
「だったら、そこの柱に四つ這いになって片足上げてやれ……愛玩人間なんだから、外でションベンしても恥ずかしくないぞ……便所なんか必要ない」

「そうですよね……それじゃあ遠慮なく」

 響子は犬のように片足を上げて放尿すると、解放感と排泄感でスッキリとした顔をする。

「ションベンが終わったら、パークに入るぞ……」

 サファリパーク島の中は柵で区切られ、衣服を着た動物たちが自由に歩いている。パーク内には首長の草食恐竜と、鋭い牙を生やした肉食恐竜が同エリアに混在していた。

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あきゅろす。
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